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[道あり]アイ・ケイ・ケイ 金子和斗志さん <7>「人財」育成で恩返し

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自然と調和した披露宴会場を案内する金子会長(1月12日、福岡市博多区で)=中山浩次撮影
自然と調和した披露宴会場を案内する金子会長(1月12日、福岡市博多区で)=中山浩次撮影

 2019年10月期決算は過去最高の売上高を記録した。だが、数か月後、新型コロナウイルスが世界を襲う。生活様式は一変した。多くの招待客が集まる結婚式は延期が相次いだ。

 「コロナの実態がつかめない以上、安全安心が最優先だ」。昨年8月末まで5か月間、全ての挙式をストップさせた。社内に対策本部を設け、自ら陣頭指揮に当たった。招待客の検温やパーティション設置など万全の感染防止策をまとめた。

 挙式は9月から徐々に戻り始めたが、年間5000組に上る前年までのペースにはほど遠い。経営への打撃は大きかった。20年10月期決算は会社設立以来、初の最終赤字に陥った。「トップとしての覚悟を示す」。コスト削減のため役員報酬は今も全額返上している。

 それでも自分に言い聞かせた。「一生に一度の晴れ舞台。両親や友人との絆を確かめ合う婚礼はなくならない。今は耐えるしかない」

 反転攻勢の準備も進めた。昨年9月に長年の悲願だった東京進出を果たす。レインボーブリッジを見渡す絶好のロケーションが売りだ。日本三名園の一つ、偕楽園(水戸市)の拡張に伴い、迎賓機能を持った飲食施設の出店も決まった。

 「もっと大きな夢を見よう」。調理部門の責任者として長年支えてきた顧問の松本正紀さん(66)は、佐賀県伊万里市を飛び出した時の金子会長の言葉を今も覚えている。「社員を大切にし、有言実行するパワーを持っている」と評する。

 事業は婚礼だけにとどまらない。食品、介護、海外と広げてきた。今年5月には持ち株会社をつくり、将来は15の子会社を設立する構想を温めている。「15人の社長を生み出せる」からだ。そこには会社の利益だけでなく、人材育成への強い思いがある。

 父からビジネスホテルを引き継ぎ、社長となったのは29歳。40年近く経営の第一線で走り続けてきた。「若い時に大きな仕事を任せてもらったから今がある。社会で活躍できる『人財』を育てることが社会への恩返しになる」。そう信じて、新たなビジネスの種を探し続けている。(松本晋太郎が担当しました)

=2021年2月23日 読売新聞地域面(西部本社版)掲載=

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2151860 0 道あり 2021/06/24 05:07:00 2021/06/24 05:07:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/06/20210623-OYTAI50025-T.jpg?type=thumbnail

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