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豪雨救助に水陸両用車 悪路走り濁流かき分け 福岡県警が追加配備

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水陸両用車で増水した川を渡る訓練をする福岡県警の機動隊員(4日、福岡県朝倉市で)=貞末ヒトミ撮影
水陸両用車で増水した川を渡る訓練をする福岡県警の機動隊員(4日、福岡県朝倉市で)=貞末ヒトミ撮影

 全国の警察や消防で、豪雨災害時に孤立者の救助にあたる水陸両用車の活用が進んでいる。近年の豪雨災害では市街地が冠水するケースも多く、水上走行で孤立した建物に迅速に近づける水陸両用車が力を発揮する。昨年導入した福岡県警では、初の災害出動となった昨年7月の九州豪雨で福岡、熊本両県で約30人を救助した。福岡県は今年、新たに1台を追加配備し、豪雨災害に備えている。(田中浩司)

 2017年の九州北部豪雨で氾濫した福岡県朝倉市の乙石川。今月4日、朝方の強い雨で増水した川に、県警第2機動隊の水陸両用車「アーゴ」が入った。濁流をかき分けて対岸にたどり着くと、石が転がる川沿いの急傾斜を一気に上り切った。ぬかるみから抜け出したり、荒れた山間部の道を走ったりするなど、被災地での活動を想定した訓練を繰り返した。

 水陸両用車は東日本大震災の津波被害をきっかけに注目された。豪雨災害が相次ぐ中、警察庁は昨年、福岡や広島など9都道府県の警察本部に初めて配備した。アーゴはカナダ製で、6人乗り(水上では4人乗り)。8輪駆動で悪路に強く、水上ではタイヤの回転を推進力に最大時速5キロで進む。運転には小型特殊自動車と小型船舶2級の免許が必要になる。

 福岡県警によると、九州豪雨では、入所者14人が亡くなり、一時孤立状態になった熊本県球磨村の特別養護老人ホーム「千寿園」から、取り残された人たちを運び出した。同県人吉市では、1階部分が浸水した建物に、水上走行で横付けして上階に避難していた80歳代の女性を助け出した。大規模冠水した福岡県大牟田市でも活動した。水にぬれた被災者は体温低下の恐れがある中、迅速な救助につなげた。

 救助に参加した福岡県警第1機動隊の原田和季巡査長(24)は「手こぎボートは隊員5人が必要だが、水陸両用車は2人で対応できる。水上だけでなく、悪路でも走破性能が高い」と話す。福岡県は今年3月、新たに1台を配備した。

 福岡県では九州北部豪雨以降、4年連続で大雨特別警報が出された。県警は今年、全35警察署に救命ボートの配備を完了。水陸両用車が到着するまでの救助活動を担う。水陸両用車を運用する県警第2機動隊小隊長の上瀧浩嗣警部補(34)は「災害がいつ起きても対応できるよう、万全の準備をしたい」と話した。

 アーゴの日本総販売元「サポートマーケティングサービス」(埼玉)によると、全国の警察・消防では計61台を配備。前橋市や埼玉県越谷市などは、災害時に、同社が車両で駆けつける協定を結んでいる。

孤立集落支援バイクで 消防団なども活用

バイクを点検する門川町消防団の隊員ら(11日、宮崎県門川町で)=小川哲雄撮影
バイクを点検する門川町消防団の隊員ら(11日、宮崎県門川町で)=小川哲雄撮影

 土砂崩れなどで道路が寸断される大規模災害では、被害状況の把握などに、警察や消防などのオフロードバイクが活躍する。住民らで組織する消防団でも、バイク隊を結成する動きが広がっている。

 南海トラフ巨大地震で最大12メートルの津波が想定される宮崎県門川町。町消防団は昨年9月、バイク隊を結成した。災害時の安否確認や孤立集落に医薬品などを届ける役割も担う。

 町が昨年度、約350万円でバイク5台を購入。隊員は農業や町職員ら25人で、月1回ほど、町内の林道などで悪路を走行する技術を磨いている。災害出動はまだないが、今年3月には行方不明になった高齢者の捜索に出動した。町総務課消防防災係長でバイク隊員の川越泰博さん(45)は「運転技術を高め、万が一に備えたい」と話した。

 宮崎県内では、日向市やえびの市の消防団もバイク隊を組織。昨夏に大雨特別警報が出た岐阜県恵那市の消防団も今年2月、バイクを使う大規模災害隊をつくった。

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2135405 0 ニュース 2021/06/18 15:00:00 2021/06/18 15:00:00 2021/06/18 15:00:00 九州北部豪雨の被災地で、水陸両用車を使った訓練をする機動隊員(4日、福岡県朝倉市で)=貞末ヒトミ撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/06/20210618-OYTNI50009-T.jpg?type=thumbnail

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