緊急事態解除でも 重症病床で看護師不足続く

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重症患者の治療に追われる「ECMOセンター」の看護師ら(5月、福岡大病院で)=貞末ヒトミ撮影
重症患者の治療に追われる「ECMOセンター」の看護師ら(5月、福岡大病院で)=貞末ヒトミ撮影

 新型コロナウイルスの重症患者の医療現場で、看護師の人手不足が続いている。専門的な知識や技術が必要なことから人材確保が難しく、離職も相次いでいるためだ。9都道府県の緊急事態宣言は20日で解除されたが、感染者は今後も増減を繰り返すとみられている。そうした中、福岡市内の大学病院がコロナ治療を担う人材育成に向けて動き出した。(手嶋由梨)

連日搬送「つらい」

 「業務量はコロナ禍前の倍以上。人手が足りず、座って休む暇もない」。福岡県内の救命救急センターで1年以上、コロナ患者の治療に取り組んできた看護師の女性(40)はため息をつく。

 今回の「第4波」では連日、重症患者が搬送されてきた。一般病棟から看護師の応援を受けたが、人工呼吸器や体外式膜型人工肺(ECMO=エクモ)の操作には酸素濃度の管理など特別な技術が必要で、センターの看護師しか扱えない。6人がかりで数時間ごとに患者の体位を変える作業も3~4人で続けている。

 亡くなった患者の遺体は体液が漏れないように「納体袋」に入れ、ジッパーの上から粘着テープを貼って密閉する。家族にも会えないまま火葬場へ運ばれるのを見る度、無力感に襲われるという。「肉体的にも精神的にもつらいけど、同僚もみんな頑張っているし、辞められない」と語る。

病院就業わずか

 コロナ患者を受け入れる病院では、コロナ対応による環境の変化や感染リスクを理由に看護師の離職が続く。日本看護協会が昨年12月に発表した調査結果では、回答した1138病院の21・3%が離職を経験し、45・5%が人手不足を訴えた。

 同協会は資格を持ちながら離職している「潜在看護師」の復職に力を入れ、昨年4月6日から今月6日までに全国で5224人が復帰した。ただ、その多くが軽症者らが療養するホテルやワクチン接種の業務に就いており、病院に就業したのは1・8%の93人だった。

 人手不足でも看護師を増やせない病院側の事情もうかがえる。福岡県医師・看護職員確保対策室によると、県内では11日現在、742人が復職を希望しているのに対し、求人は約半分の387人にとどまり、病院からの求人はわずか。同室の担当者は「コロナ禍で経営状況が厳しく、雇用が難しいのかもしれない」と推測する。

育成センター開設

 コロナ治療の看護師不足が続く中、福岡大(福岡市)は現場で働く人材の専門性を高めようと、感染症に対応できる看護師らの育成に乗り出した。国の助成を受け、年内にコロナ治療や感染症対策の実践的な研修を行う「シミュレーションセンター」を開設する。

 同大病院では昨年7月に重症患者の治療に特化した「ECMOセンター」を設置しており、研修では、この施設の医師らがエクモや人工呼吸器の操作などを医学部生のほか、地域の医療機関スタッフに指導する。

 小玉正太医学部長は「感染症との闘いは今後も続く。地域で『即戦力』となれる人材を増やしたい」と話している。

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2141333 0 ニュース 2021/06/21 05:00:00 2021/06/21 05:00:00 2021/06/21 05:00:00 救急搬送された新型コロナウイルス陽性患者の対応に追われる医師や看護師ら(7日午後4時21分、福岡市城南区の福岡大学病院で)=貞末ヒトミ撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/06/20210621-OYTNI50005-T.jpg?type=thumbnail

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