人気アニメ「夏目友人帳」ファンの支援で聖地復活へ…九州豪雨で被災の「大柿毘沙門堂」

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 昨年7月の九州豪雨で被災し、解体の危機に直面していた熊本県人吉市の小さな仏堂が、全国からの寄付によって修復される見通しとなった。寄付者を動かしたのは、同県出身の漫画家が原作を手がけた人気アニメ「夏目友人帳」。作品は人吉市など県南部の風景がモデルとなっており、「聖地」の復旧を願うファンから支援が相次いだ。(相良悠奨)

大柿毘沙門堂の前で修復のスケジュールについて話し合う久保田さん(左)と一橋さん(6月、熊本県人吉市で)=浦上太介撮影
大柿毘沙門堂の前で修復のスケジュールについて話し合う久保田さん(左)と一橋さん(6月、熊本県人吉市で)=浦上太介撮影

 仏堂は、球磨川流域に位置する同市大柿地区の「大柿毘沙門堂」。江戸時代以前からあったとされる。地域住民が大切に管理し、毎年夏には地区の祭りも催されてきた。

 夏目友人帳は漫画家・緑川ゆきさんの原作で、自然豊かな田舎町を舞台に、妖怪が見える主人公の少年と妖怪らの心の交流を描いている。大柿地区には毘沙門堂をはじめ、球磨川にかかる 紅取べにとり 橋や 天狗てんぐ 橋など夏目友人帳に登場する風景のモデルが多数存在。テレビアニメが2008年から放映され、ファンが全国から「聖地巡礼」に訪れている。

 しかし、九州豪雨では地区の約60世帯全てが浸水被害を受けた。仏堂も天井付近まで水につかって大きく傾き、倒壊の危険性が高まっている。修復には330万円の費用が必要だが、住民が自分たちで工面するのは難しかった。

 「受け継がれてきた地域の宝を、私たちの代で途絶えさせてしまうのか」。今年1月、頭を悩ませた町内会長の一橋国広さん(77)から現状を聞いた市は、歴史的建造物の保存・修復に詳しい建築士「ヘリテージマネージャー」の久保田貴紀さん(50)に相談した。

 久保田さんは毘沙門堂がアニメファンに知られている点に注目し、クラウドファンディングで寄付を募る方法を提案。5月27日に始めたところ、1か月で227人から目標を超える338万円が集まった。「『夏目友人帳』と聞いて放っておけなくなりました」などと激励のメッセージも寄せられ、一橋さんは「被災後のボランティアをはじめ、多くの人に支えられている」と感謝しきりだ。

 県と県観光連盟も、夏目友人帳を人吉・球磨地域の復興に活用しようと、連盟のホームページ内に特設サイトを設け、アニメのキャラクターが地域の名所を訪れる動画を公開している。毘沙門堂の修復工事は9月頃に始まり、今年度末に完了予定。久保田さんは「再建された毘沙門堂は地域住民の心の支えになってくれるはず。復興のシンボルとして未来につながる事業にしたい」と話している。

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