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原爆資料継承ピンチ 団体の高齢化や解散で やむなく処分のケースも

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多くの資料が保管されている鹿児島県原爆被爆者協議会の事務所。大山事務局長は「何を残すのか検討できていない」と話した(7月21日、鹿児島市で)=藤本鷹史撮影
多くの資料が保管されている鹿児島県原爆被爆者協議会の事務所。大山事務局長は「何を残すのか検討できていない」と話した(7月21日、鹿児島市で)=藤本鷹史撮影

 広島、長崎への原爆投下から今年で76年。被爆者団体の解散や会員の減少が続く中、各団体が保管してきた資料の保存が課題となっている。被爆当時の状況などを記した貴重な資料だが、受け入れ先が見つからず、処分した団体もある。

 「鹿児島の被爆者の声が詰まった資料だが、どうしたらよいのだろうか」

 会員数の減少から数年以内の解散を検討している鹿児島市の鹿児島県原爆被爆者協議会の事務所。大山正一事務局長(64)は本棚や段ボールに収めた1000点近い資料を見つめた。

 事務所には、被爆者健康手帳の申請書類の写しなど、被爆当時の状況などが記された数百人分の資料を保存している。父親が長崎原爆で被爆した被爆2世の大山さんも資料の重要性は認識しているが、協議会の会員数はピーク時の約7分の1の約200人にまで減り、事務所の維持管理費などの確保も難しくなっており、解散もやむを得ない状況になっている。大山さんは「解散した後の資料の取り扱いは決まっていない。個人で保管するわけにもいかず、廃棄しかないかもしれない」と話した。

 すでに大量の資料を処分した団体もある。2月に事実上の解散となった宮崎県原爆被害者の会は会員名簿などを除いて、語り部活動の記録や総会資料など、歴代の会長から引き継いできた資料の大半を処分した。元会長の田中 芙己子ふみこ さん(82)は「会員の個人情報など扱いに困るような資料を残せば、迷惑をかける」と明かした。

 厚生労働省の統計では、全国の被爆者(被爆者健康手帳所持者)は3月末現在で12万7755人で平均年齢は83・94歳に達した。

 近年は年間約9000人前後が亡くなっており、日本原水爆被害者団体協議会(被団協)によると、1980年代までは各都道府県単位の加盟団体があったものの、被爆者の減少に伴い、宮崎県を含む9団体が解散・休止した。昨年12月にはブラジル被爆者平和協会が解散、今年3月には佐賀県原爆被害者団体協議会の鹿島市にある支部が、5月には、松江市原爆被爆者協議会も解散した。被団協の木戸季市事務局長(81)は「記録や資料が既にかなり消えてしまったはず。切羽詰まった状況だ」と危機感を示す。

 「被爆者のいない時代」が迫る中、こうした資料の散逸を防ぐ取り組みも始まっている。

 NPO法人「ノーモア・ヒバクシャ記憶遺産を継承する会」(東京)は10年前から、資料の散逸を防ぐため、解散の危機にある被爆者団体などに声かけをして団体や個人から約6700点の資料を収集。閲覧や問い合わせに対応できるようインターネットで目録の公開を進めているが、担当の栗原 淑江よしえ さんは「私たちだけで全国の資料を保存するのは難しい」と語る。

 また、東京に被爆資料が集中し、地方からなくなることも問題があるとし、「被爆者だけで資料を抱え込むのは限界がある。保存に向け、地方の大学や図書館など公的機関の協力が必要だ」と訴えた。

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2260132 0 ニュース 2021/08/04 05:00:00 2021/08/04 05:00:00 2021/08/04 05:00:00 「何を残すのか検討できていない」と膨大な資料に目を通す大山事務局長(21日午後2時16分、鹿児島市の県原爆被爆者協議会の事務所でで)=藤本鷹史撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/08/20210804-OYTNI50011-T.jpg?type=thumbnail

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