読売新聞オンライン

メニュー

ニュース

動画

写真

スポーツ

コラム・連載・解説

発言小町

漫画

教育・受験・就活

調査研究

紙面ビューアー

その他

サービス

読売新聞のメディア

購読のお申し込み

読売新聞オンラインについて

公式SNSアカウント

被爆76年~つなぐために〈上〉画面越し自分で伝える 高齢化「遠方でも可能な形」

スクラップは会員限定です

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

オンラインで講話をする山田さん
オンラインで講話をする山田さん

 長崎原爆から間もなく76年。被爆者の高齢化は進み、新型コロナウイルスの感染拡大は収束の兆しを見せていない。困難な状況下で、被爆体験をいかに伝えていくか。時代と向き合い、継承を模索する取り組みを追った。

 「1時間ほどお話をさせていただきます」

 7月下旬、長崎市の国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館の研修室。長崎原爆の被爆者、山田一美さん(88)の前に聴衆はいない。小さなカメラと向かい合い、隣に機材操作などを手伝う同館職員1人がついていた。

 山田さんの姿が映し出されたのは、長崎から約1200キロ離れた秋田市。同市が企画した「ナガサキ・ 土崎つちざき 被爆証言講話会」だ。同市土崎地区には終戦間際の1945年8月14日から15日未明にかけ、1万2000発を超える爆弾が投下された。250人以上が犠牲になり、「日本最後の空襲」と呼ばれている。

 同市では、後世に悲劇を語り継ごうと2012年から講話会を続けてきた。だが昨年は新型コロナの影響で中止。今年は初めてオンライン形式で開催した。山田さんは、自宅のパソコンなどで聴講する約40人に向け、自身の体験を淡々とした口調で語り始めた。

 山田さんは満州(現中国東北部)で生まれた。学校に通うため、親元を離れて祖母とおばがいる長崎市へ。12歳の夏、爆心地から約2・3キロ離れた自宅近くで被爆した。

 「落下傘や……」

 道路工事をしていた男性らの声を聞き、空を見上げたが何も見えなかった。歩き出した後、 閃光せんこう が走った。「真夏の太陽より明るくて、ものすごく熱く、死を覚悟した」という。

 たまたま岩の陰にいたためか、無事だった。爆心地の方から、大けがを負った人たちが一列に並んで歩いてきた。二人組の大人の男の人が「敵を討ってくれ」と言って過ぎ去って行った。うち一人は眼球が飛び出していた。

 新聞配達の少年も忘れられない。2歳ほど年上で名前も知らない。あの日も新聞を届けてくれた。「近所には代わりに配っておくから」。山田さんがそう伝えて新聞を受け取ると、少年は喜び、自宅のある爆心地の方に歩いて行った。「向かった方向を考えると、原爆に遭っているんじゃないか……」

 約1時間の講話を終えた山田さんは、オンラインの制約を感じていた。「聴いている人の雰囲気や反応がわかりづらい。目の前に人がいるこれまでとは勝手が違う」。一方の秋田市。参加者からは「(機材の影響で)声が聞き取りづらい時間があった」といった課題が指摘されたという。

 ただ山田さんは、オンラインの良さも感じていた。「被爆者の高齢化は進む。現地に赴くのも難しくなることを考えると、せめて画面越しに自分の言葉で伝えられる、という魅力はある。この形式が増えていくのではないでしょうか」

被爆者手帳所持平均83・94歳

 厚生労働省によると、3月末現在、医療費が原則無料になるといった支援を受けられる被爆者健康手帳を持つ全国の被爆者は、12万7755人(前年同期比8927人減)。平均年齢は83・94歳となった。

無断転載・複製を禁じます
スクラップは会員限定です

使い方
2260189 0 ニュース 2021/08/04 05:00:00 2021/08/04 05:00:00 2021/08/04 05:00:00 自らが映し出された画面に向かって講話をする山田さん https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/08/20210804-OYTNI50012-T.jpg?type=thumbnail

ピックアップ

読売新聞購読申し込み

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)