消毒徹底 文化に触って…ユニバーサル・ミュージアム 視覚障害者も満喫

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博物館や美術館 企画再開

 新型コロナウイルスの影響で、各地の博物館や美術館が見送ってきた「触る展示」を再開させる動きが出てきた。背景には、視覚障害などの有無に関係なく展示を楽しめる「 ユニバーサル・ミュージアム 」の理念がある。「第5波」への懸念もある中、関係者は感染対策に気をつけながら、コロナ下でも「誰もが文化に触れられる場」のあり方を模索している。(瀬戸聡仁)

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展示物を触って楽しむ藤川さん(7月27日、福岡県太宰府市の九州国立博物館で)=貞末ヒトミ撮影
展示物を触って楽しむ藤川さん(7月27日、福岡県太宰府市の九州国立博物館で)=貞末ヒトミ撮影

 九州国立博物館(福岡県太宰府市)で7月下旬、目が不自由な福岡市中央区の団体役員、藤川敦志さん(59)が古墳時代の「 埴輪はにわ 馬」のレプリカを触りながらつぶやいた。「頭が大きい。この突起は馬具かな」

 「ならべてわかる本物のひみつ」と題した企画展(9月5日まで)で、ほかに 銅鐸どうたく や仏像の頭部などのレプリカが実物とともに並んでいる。同館は触る前の手指消毒を義務づけ、使い捨てのビニール手袋も用意。スタッフも定期的に消毒し、対策を徹底する。藤川さんは「触って楽しめる展示が増えれば、博物館は視覚障害者にとってもっと身近な存在になる」と歓迎した。

 同館は昨秋にも同様の企画展を実施したが、当初予定していた展示物への接触は禁止していた。加藤小夜子・主任研究員は「接触感染のリスクは対策次第で減らせることがわかってきた。誰でも楽しめる博物館にするには、『触れる展示』の実施は必須」と強調する。

 福岡県には2日から「まん延防止等重点措置」が適用されている。同館は入り口での体温測定やマスク着用、団体での入館規制などを引き続き徹底していくという。

 国立民族学博物館(大阪府吹田市)は9月2日から、「ユニバーサル・ミュージアム さわる!“触”の大博覧会」を開催する。「触って楽しむ」をテーマにした特別展。同展も本来は昨秋の開催予定だったが、コロナ禍で1年延期した末の実施となった。

 実行委員長を務めるのは、同館の広瀬浩二郎准教授。自身も全盲で、「誰でも文化に接する機会を得られるべきだ」との考えから、約20年にわたりユニバーサル・ミュージアムの研究や普及に携わってきた。

 大阪府は31日まで緊急事態宣言の対象区域となっている。広瀬准教授は「この時期に『接触』をテーマにした展示を行うのは責任が伴う。消毒などの対策を徹底して臨みたい」と強調。その上で「感染状況を適切に見極めながら『触れる展示』を実施するのは意義のあること。特別展をきっかけに、ユニバーサル・ミュージアムの考え方がさらに広まればいい」と期待する。

 日本博物館協会(東京)が昨年5月に公表した指針によると、触れる展示については「原則として行わない」とする一方、「やむを得ない場合は消毒を徹底して行う」と定めていた。

 半田昌之・専務理事は「触れる展示を再開させる施設は全国的に増えている。徹底した感染対策を講じた上での実施は、ユニバーサル・ミュージアムの観点からも歓迎できる。それぞれの施設の取り組みを共有できるよう、協会としても支援したい」と話している。

ユニバーサル・ミュージアム

 障害の有無にかかわらず、誰もが楽しめる博物館や美術館。2000年代前半から広がり始めた考え方で、施設によっては車いす利用者のために展示品を低い位置に飾ったり、解説映像に手話通訳を交えたりしている。

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