復興阻む放置空き家 九州豪雨被災地…所有者不明解体進まず

スクラップは会員限定です

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

 九州豪雨の被災地で、放置された空き家が復興の妨げになっている。倒壊の危険があるのに所有者の確認や解体の手続きなどに時間がかかるためだ。球磨川の氾濫で住宅地が広く浸水した熊本県人吉市では、市が強制的に解体する方針だが、解体の手続きを始めた空き家は一部にとどまる。今後の復興計画などに影響する可能性もあり、住民から不安の声もあがる。(有馬友則)

被災後、解体されずに放置されたままとなっている元理髪店を調査する山本さん(昨年12月、熊本県人吉市で)
被災後、解体されずに放置されたままとなっている元理髪店を調査する山本さん(昨年12月、熊本県人吉市で)

 「このまま放置されれば、倒壊する危険もある」。大規模な浸水が発生した人吉市の下青井地区。昨年12月下旬、空き家の調査で訪れた市地域コミュニティ課移住定住係長の山本研央さん(45)は、木材がむき出しになった2階建て家屋を見上げ、心配そうに語った。

 理髪店だったこの建物は豪雨で全壊した。近隣住民の相談を受けて市が調べると、豪雨前にいた店主は所有者でなく、持ち主は県外在住者で既に死亡していた。

 全世帯の8割以上が半壊以上となった同地区では、被災した家屋の解体が行われ、飲食店や小売店も再建されつつある。だが、元理髪店は国道の拡幅工事にかかる可能性があり、工事が停滞する懸念もあるという。近くの女性(80)は「いつ倒れるか分からず不安だし、泥をかぶったままのゴミも残っていて不衛生」と表情を曇らせる。

 人吉市によると、市内の空き家は約780棟で、うち約3分の1が被災したとみられる。数百棟規模になるため、市は個別の状況を現在調査中だが、今後、復興計画が進む中で空き家が区画整理や道路の拡幅工事などで、復興に影響を及ぼす可能性が出てくるとみられる。

 被災した空き家の処理は、2015年施行の空家対策特別措置法では、倒壊の恐れなどがあれば、自治体が「特定空き家」に指定し、強制撤去ができる。ただ居住実態を確認する必要があり時間がかかるうえ、所有者がいても法律に基づく助言や勧告などの手順があり、迅速な対応は難しい。

 市は所有者がいない空き家は代執行で解体する考えだが、財源不足もあり作業は来年以降になるという。山本さんは「個人の財産は勝手に解体できない。法律に従って手続きを進めるしかない」と頭を悩ます。

1

2

スクラップは会員限定です

使い方
「地域」の最新記事一覧
2699673 0 ニュース 2022/01/24 15:00:00 2022/01/24 15:20:12 2022/01/24 15:20:12 https://www.yomiuri.co.jp/media/2022/01/20220124-OYTNI50023-T.jpg?type=thumbnail

ピックアップ

読売新聞購読申し込みキャンペーン

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)