アサリ偽装 数週間蓄養で「熊本産」…中韓から輸入 書類書き換え出荷

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 中国や韓国産のアサリが「熊本県産」として大量に流通していた問題で、偽装を行っていた業者らが読売新聞の取材に応じ、国の食品表示制度を悪用し、産地をすり替えていた実態を明らかにした。農林水産省と熊本県は、国内で同県産として流通するアサリのほとんどで産地が偽装されていた可能性があるとみており、流通経路などの本格調査に乗り出す。

「業界の常識」

アサリの産地偽装のための蓄養が行われていたとみられる漁場(2日午後、熊本県で)=林航撮影
アサリの産地偽装のための蓄養が行われていたとみられる漁場(2日午後、熊本県で)=林航撮影

 「以前は中国や韓国から輸入したアサリを熊本産として出荷していた。産地偽装は業界の常識だ」。福岡県柳川市の水産物加工販売会社の吉川昌秀社長(34)は、そう語った。

 食品表示法に基づく国の基準では、アサリを2か所以上で育てた場合、期間が長い場所を原産地として表示する。同社では、半年から1年近く育ったとみられるアサリを中国や韓国から仕入れる際に、生育期間を短く装った証明書を出すように依頼。アサリは熊本県の干潟で数週間から3か月程度、海で育てる「 蓄養ちくよう 」を行い、年間約7000トンの約9割を熊本県産として全国の卸業者に出荷していた。

 15年前に父親の会社に入った時点で偽装は常態化しており、「問屋が求めてくるのは熊本県産だけだった」と振り返る。3年前まで不正を続け、2020年10月に会社の所得を隠したとして法人税法違反などで逮捕、起訴された。その後、「消費者に償いたい」と二枚貝の産地偽装根絶を目指す団体を設立し、啓発活動に取り組んでいる。

関係者も黙認

 熊本県は約40年前まで、アサリの漁獲量が全国の4割を占める一大産地だった。生産に適した砂浜が減り、漁獲量が激減する中で、関係者が不正を黙認していたとの指摘もある。

 県北部の有明海に漁業権を持つ漁業協同組合では、蓄養に取り組む業者らと契約し、区画を貸し出している。業者らから支払われる「漁場代」は貴重な収入源だ。男性組合長は、「漁協の経営に漁場代は必要。仮に偽装を知っていても、黙認せざるを得ない現実もある」と話した。

 熊本県は、適正な産地表示を続けている業者がいる一方、短期間の蓄養すらせず、書類を書き換えることで、外国産を熊本県産と偽って販売したケースも多いとみている。外国産の輸入量は国内で流通するアサリの約9割に上る。県内の卸業者は「熊本産ではないアサリが出回っていることは業界ではみんな知っている」と明かした。

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