起立性調節障害 高校生が映画化「病気の実態 広く知って」国内コンクール最高賞 米で今秋上映

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 自律神経の不調で立ちくらみやめまいに襲われる「起立性調節障害」(OD)を患う福岡県春日市の18歳の女性が、自らの体験を基に、高校の同級生らと製作した映画が今秋、米国の学生映画祭で上映される。高校生の国内映画コンクールで最高賞に輝き、副賞として決まった。国内で上映依頼も相次いでおり、製作に関わった生徒らは「作品を世界と日本全国に届けたい」と意気込んでいる。(佐藤陽)

上映会のトークショーで作品への思いを語る(左から)西山夏実さん、古庄菜々夏さん、小田実里さん(5日、福岡市中央区で)=清水敏明撮影
上映会のトークショーで作品への思いを語る(左から)西山夏実さん、古庄菜々夏さん、小田実里さん(5日、福岡市中央区で)=清水敏明撮影

 作品のモデルとなった西山夏実さんは中学1年の秋頃に突然、極度の食欲不振となり、体重が2~3か月で7キロ落ちた。翌春、教室で倒れ、医師にODと告げられた。

 次第に朝は起きられなくなり、昼夜逆転の生活が続いた。友人と会えず、孤独の中で自分の体が変わっていく恐怖を感じた。登校できても保健室で過ごす日が増え、教師から「サボっている」と誤解されて精神的に追い込まれたという。

 転機が訪れたのは、県立筑紫丘高2年の時。2020年の春、同級生の小田実里さん(18)が、病と闘う西山さんの日常を小説にした。保健室で出会った女子生徒との交流や、高校受験のエピソードなどを盛り込み、ネットショップで100冊を販売したところ即日完売した。

 ODは10歳代に多く、同世代を中心に「勇気づけられた」「救われた」などの反響があったことから、西山さんは「ODをもっと広く知ってほしい」と映画化を決意。SNSで出演者やスタッフを募集し、高校生を中心に26人の協力を得た。自身が監督を務め、脚本は小田さんが担当。西山さん役は、演劇の経験がある同級生の古庄菜々夏さん(18)が演じた。

 20年8月から週末を中心に福岡県や佐賀県でロケを重ね、費用は、西山さんが親から借りた30万円で賄った。撮影終盤に西山さんの体調が悪化し、現場で倒れたこともあったが、21年3月にクランクアップした。

 完成した「今日も明日も負け犬。」(60分)は同年12月、「高校生のためのeiga worldcup」自由部門で76作品の中から最優秀作品賞に選ばれ、毎年ニューヨークで開かれている「全米学生映画祭」での上映が決まった。

 最優秀女子演技賞を獲得した古庄さんは、「当事者に話を聞いたり、ODの専門書を読んだりして撮影に臨んだ」と振り返る。

 西山さんらは作品を多くの人に見てもらいたいと考え、福岡市内での上映会も企画。費用はクラウドファンディングで募り、昨年7月に実現させた。今月5日にも同市内で上映され、オンラインを含む視聴者約80人を前に作品への思いを語った。

 西山さんは今月、高校を卒業した。今後の進路は、体調を見ながらゆっくり考えていくつもりだ。「作品を見た人から『家族に病気を理解してもらえた』『学校に行けるようになった』などの感想をもらい、うれしかった。上映依頼にも可能な限り応じていきたい」と張り切っている。

 作品に関する情報や問い合わせは公式サイト( https://kyoumoashitamomakeinu.com/ )へ。

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