がん患者の外見をケア

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販売用ウィッグの手入れをするウィッグリング・ジャパンのスタッフ(福岡市で)
販売用ウィッグの手入れをするウィッグリング・ジャパンのスタッフ(福岡市で)

 がんの治療には外見の変化を伴うことがあり、患者の生活の質に与える影響が大きい。悩みや不安を抱える患者へのサポートは「アピアランス(外見)ケア」と呼ばれ、医療用ウィッグや人工乳房などの購入費の一部を助成する自治体が増えている。(鶴田明子)

 卵巣がんのため1月から抗がん剤治療を受けている福岡県古賀市の女性(50)は、治療の副作用で髪の毛が抜け、見た目の変化に悩むようになった。そこで5月、ショートヘアのウィッグを購入。その費用2万5000円の半額を、同市の助成で賄った。

 古賀市の助成事業は、医療用ウィッグなどに2万円、人工乳房などの補整具に1万円を上限として半額を助成する内容で、今年4月から実施している。女性は「治療や検査にはお金がかかる。経済的な支援でがん患者に寄り添おうとする市の姿勢がうれしい」と喜ぶ。

 ウィッグを女性に販売したのは、福岡市中央区のNPO法人「ウィッグリング・ジャパン」だ。12年前からがん患者向けにウィッグのレンタル事業を行っており、県内でアピアランスケアに助成する自治体が広がったことを契機に、4月から販売も始めた。

 代表理事の上田あい子さん(47)によると、同法人のウィッグは治療を終えた患者から無償で譲り受けてクリーニングしたリユース品で、販売額は3000~4万円程度。ただ、新品は通常数万~数十万円で販売されており、上田さんは「高額のためウィッグの購入を諦めたという人もいる。助成は患者の助けになるはず」と話す。

ウィッグや人工乳房 助成広がる

国は、2017年度に策定した第3期がん対策推進基本計画で、初めてアピアランスケアへの対策の必要性を明記した。これを受けて助成を始める自治体が広がっており、購入費の半額を1万~3万円を上限に支給するケースが多い。申請時には、がん治療を受けていることがわかる書類の提出などが求められ、所得制限がある場合もある。

 福岡県では、6市4町が助成を実施。21年度に県内で最初に導入した北九州市では同年度、260人に支給した。同県芦屋町は助成額の上限が10万円で、担当者は「医療用ウィッグは高額。患者さんの負担を少しでも減らしたい」と説明する。

 助成対象となるものはウィッグのほか、人工乳房、補整下着などで、自治体ごとに異なる。温泉地の大分県では、乳がんの患者が手術した胸をカバーするための温泉入浴着の購入費も対象にしている。県の担当者は「温泉に行きたいけど気が引ける、という人にも楽しんでほしい」と期待する。

 宮崎県では助成事業を行っている市町村はないが、「ピンクリボン活動みやざき」(事務局・県健康づくり協会)が、乳がん患者に対するウィッグなどの購入費助成を昨年10月から始めた。財源は、元患者の遺贈や寄付金などを充てている。

 助成が利用できない地域がまだ多いことについて、全国がん患者団体連合会の桜井なおみ理事は「居住地によって差が生じないようにしてほしい」と要望。また、助成制度がある自治体でも患者への周知が不十分なケースがみられるとして、「自治体と病院が連携し、必要とする患者にしっかり情報が伝わるように努めるべきだ」と訴える。

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