「美尻」ぞろいの林檎たち…王国・青森の秋
完了しました
80種2300本…弘前の公園
リンゴ王国・青森は今がシーズンだ。人生初のリンゴ狩りに出かけたり、意外な場所で赤い果実を見つけたり。実りの秋は、心が弾む。
青森市から、リンゴの一大産地・弘前市に車で向かったのは10月10日。国道7号を走ると、「津軽富士」の異名を持つ岩木山がぐんぐん近づいてきた。

1時間半ほどで着いた弘前市りんご公園には、80種、約2300本のリンゴの木が植えられている。秋晴れの空とリンゴ、岩木山が織りなす景色が美しい。
公園で収穫できるリンゴは時期によって異なり、この日は黄色い「トキ」と、深紅の「
お尻で見分ける
おいしいリンゴの見分け方はあるのだろうか。スタッフいわく、「トキは、お尻まで黄色いと食べ頃です」。では、北紅はと聞くと、「お尻まで赤黒いのがいいです」。リンゴは万事、お尻がポイントのようだ。
収穫は1人5個までで、重さに応じた料金を支払う仕組み。入場料は不要だ。本日はトキと北紅を2個ずつ狩り、計4個で税込み396円だった。帰宅後、自ら取ったリンゴをかじる。ジューシーなトキ、甘みたっぷりの北紅。格別だ。
パイ・スープ…加工品も格別

ところで、ここ青森ではリンゴの加工品も侮れない。例えば、青森市の県観光物産館「アスパム」1階などで販売されているチーズアップルパイ。もしくは、旧東奥義塾外人教師館(弘前市)内のカフェでいただいたリンゴのスープ。舌鼓を打ちまくっているが、そんな青森のリンゴのルーツを調べてみると、何と県庁に行き着いた。1875年(明治8年)、内務省から苗木が本県に配布され、県庁の敷地内に植えられたのが始まりだという。
そして県庁の前庭では今も、11品種14本のリンゴの木が育てられている。こんな県庁が日本にあるとは驚きだ。県によると、収穫した果実は例年、カゴに入れて庁舎玄関に置き、来庁者にプレゼントしているという。ただ、先着順で数に限りがあるうえ、「普通のリンゴに比べると、品質は……」とのことだ。

王国脅かす温暖化
青森県のリンゴ収穫量は全国の5割以上を占める約40万9800トン(2019年産)で、もちろん日本一。だが、地球温暖化に伴う各都道府県の将来像を予測した公益財団法人・世界自然保護基金ジャパンの特設サイト「未来47景」によると、今世紀末、リンゴは暑さに耐えられなくなり、青森の特産物から消えてしまう恐れがあるという。
それを防ぐために何ができるだろう。リンゴ王国に住む一人として、考えなければならないと思っている2020年の秋である。
