3密一切なし! 東北「旅ラン」〈上〉…雄大な北上川沿いをゆるゆる走る

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東北統括本部 原田 信彦

 ここ十数年来、ランニングに親しんでいる。マラソン大会を目指す、少しハードな練習の傍ら、近年ハマっているのが、車や電車で遠出して、名所巡りを楽しみながらゆるゆる走るランニング「旅ラン」だ。コロナ禍の今年、主なマラソン大会は軒並み中止となったが、Go Toキャンペーンも始まったことだし、グループでも独りでも楽しめる旅ランを味わうチャンスと思う。ここ1か月ほどの間に走った「東北旅ラン」を、二つばかり紹介する。まずは東北地方の中央を貫く北上川へ――。

豊かで静かな流れが、見る者をなごませる
豊かで静かな流れが、見る者をなごませる

地図アプリは必携、あとは身軽に

 決まったコースはない。ネットには「お勧めコース」もたくさん掲載されているが、あくまで参考程度で。立ち寄りたい場所をいくつかセレクトして、走ってつなげば良いのだ。あるいは気の向くままにでも。私の場合、「今回は15キロ・メートル以上走ろう」という具合に、目標とする走行距離だけを決めている。やはり達成感は必要だ。

ガーミン社のランニングアプリを使用。地図はグーグル社
ガーミン社のランニングアプリを使用。地図はグーグル社

 準備は簡単。ランニング用ポーチに、給水ボトルにマスク、ポケットティッシュ、現金などを入れておく。あとはインターネットの地図サイトで、だいたいのコース取りを考えておくくらいだ。

 現地で雰囲気のいい道を見つけたら、迷わず突入すべし。あくまで臨機応変でいきたい。ただし迷子にはなりたくないので、地図アプリが入ったスマホは必携だ。走行距離や道程をリアルタイムで計測できるランニングウォッチがあれば、さらに楽しくなる。

雄大な流れ、冠雪の山…空気がうまい!

スタート地点の「高野長英記念館」。歴史ファンはぜひ訪れたい
スタート地点の「高野長英記念館」。歴史ファンはぜひ訪れたい

 仙台に赴任した今年2月以来、盛岡方面に出張するたびに気になっていたのが、新幹線の車窓から見える、雄大な北上川だ。緑豊かで緩やかな流れとともに走ってみたいと、かねて思っていた。地図をひもとくと、岩手県南部が比較的近くて楽しめそうだ。よし行こう。目標は10マイル(約16キロ・メートル)以上走ること、と決めた。

「北上夜曲」の碑
「北上夜曲」の碑

 10月31日の早朝、仙台市の自宅を出発し、午前7時過ぎ、岩手県奥州市の水沢公園に着いた。軽くストレッチをして、園内にある「高野長英記念館」の脇からスタートする。ゆっくり東へ向かうと、15分ほどで北上川にかかる「小谷木橋」に出る。橋近くの土手に「北上夜曲発祥の地・詩碑」と書かれた白塗りの木碑が、ぽつんと立っていた。思わず「匂い優しい白百合の~」と、歌詞を口ずさむ。後で調べたら、石造りの立派な歌碑が北上市にあるという。この木碑も素朴で良い。

稲刈りの終わった田園地帯の向こうに、新雪をかぶった山々が見える
稲刈りの終わった田園地帯の向こうに、新雪をかぶった山々が見える

 右岸の堤防道路をひたすら南下する。ほとんど人に出会うことがない。稲刈りが済んだ静かな田園地帯の向こうに、遠く新雪をかぶった山々が見える。空気がうまい。静かな川面が、ほとりの木々を映し出す様が、ひたすら美しい。スタート地点から約10キロ・メール。折り返し点に決めた「藤橋」から上流方向を望めば、川の雄大さに圧倒される。スマホで写真を撮る度に立ち止まるが、これが適度な休憩となって体に優しい。

藤橋から上流を望む。川が天空から流れ来るようだ
藤橋から上流を望む。川が天空から流れ来るようだ

天文台に寄り道

 戻りは左岸沿いを北へ。堤防道路がないので、車が行き交う一般道の端をびくびくしながら走ることになる。最後は小谷木橋を渡り、スタートした水沢公園へ。そのまま素通りし、近くの「国立天文台水沢VLBI観測所」に向かう。北上川の美を楽しんだ後は、はるかな宇宙の神秘に触れよう。

水沢VLBI観測所の電波望遠鏡。ブラックホールを撮影する国際プロジェクトに貢献した
水沢VLBI観測所の電波望遠鏡。ブラックホールを撮影する国際プロジェクトに貢献した

 昨年春、国際研究チームが、ブラックホールの撮影に初めて成功したとのニュースが、世界中を駆け巡った。「VERA(ベラ)」と呼ばれるプロジェクトで、水沢観測所の電波望遠鏡も、撮影に参加した「カメラ」の一つだ。長年、科学記者だった身には、絶対に見逃せないスポットである。観測所の一部は一般公開されており、くだんの電波望遠鏡の間近にも行ける。併設の「奥州宇宙遊学館」も、昔の観測機器など貴重な資料が所狭しと展示されており、天文ファンにはたまらない。

 ここまでの走行距離は19.1キロ・メートル。ゴールとしよう。撮影されたブラックホールは、地球から約5500万光年の彼方にあるという。彼我のスケール差にあきれつつ、汗をふきふき悦に入るのだった。(旅ラン〈下〉はこちら

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電波望遠鏡の前に設置されたブラックホール顔出しパネルに興じる筆者
電波望遠鏡の前に設置されたブラックホール顔出しパネルに興じる筆者
プロフィル
原田 信彦(はらだ・のぶひこ)
 1967年3月、愛媛県生まれ。大学入学で上京、バブル景気を横目に貧乏学生として過ごし、90年、読売新聞東京本社に入社。横浜支局での警察担当を振り出しに、編成部、松本支局を経て科学部へ。約20年にわたる科学記者生活では、素粒子から天変地異まで、科学が関わる様々な出来事を取材、つくば支局長も務めた。今年2月に東北統括本部に異動し、初めての「みちのく生活」を満喫中だが、コロナ禍のために東北のお祭りはおあずけ状態。趣味はランニングで、フルマラソンの自己ベストは3時間13分。なお、観光地などに置いてある「顔出しパネル」には、必ず顔を出す。

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1637494 0 We Love みちのく 2020/11/19 12:00:00 2020/11/26 12:20:40 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/11/20201117-OYT8I50097-T.jpg?type=thumbnail

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