読売新聞オンライン

メニュー

ニュース

動画

写真

スポーツ

コラム・連載・解説

発言小町

漫画

教育・受験・就活

調査研究

紙面ビューアー

その他

サービス

読売新聞のメディア

購読のお申し込み

読売新聞オンラインについて

公式SNSアカウント

極彩色の「おくのほそ道」に導かれ…旅ラン〈下〉

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

We Love みちのくWe Love みちのく

東北統括本部 原田 信彦

 マラソン大会と異なり、訪れたい場所で自由気ままに走る「旅ラン」。名勝だらけの東北は、そんなランニングにぴったりの場所だ。祝日の11月3日、国内有数の紅葉名所とされる「鳴子峡」がある、宮城県大崎市に向かった。

鳴子峡の絶景
鳴子峡の絶景

絶景の鳴子峡、気になる案内板が…

今回の走行経路。寄り道したため軌跡が若干複雑になった。ガーミン社のランニングアプリを使用。地図はグーグル社
今回の走行経路。寄り道したため軌跡が若干複雑になった。ガーミン社のランニングアプリを使用。地図はグーグル社

 気合を入れて起床し、午前7時前には鳴子温泉近くの無料駐車場に到着した。走り出してすぐ、国道47号を山形方面にわずか数百メートルで「鳴子峡」に至った。渓谷上部にかかる橋の上から、色とりどりの木々が覆う大岩壁を一望できる。一角には渓谷の最深部を横切るJR陸羽東線の鉄橋を見下ろせる絶好のポイントがあり、鉄橋を通過する列車を撮影しようとする大勢の鉄道ファンが、三脚をセットして待ち構える。大事件を取材する報道陣のようだ。

「おくのほそ道」の案内看板
「おくのほそ道」の案内看板

「芭蕉が歩いた古道」

 周辺案内の看板に、気になる表示があった。「おくのほそ道」。押し寄せるマイカーをさばく交通整理員の男性に尋ねたら、国道沿いの山中を山形方面に延びる遊歩道で、芭蕉が平泉から歩いた古道なのだという。これはぜひ歩き、いや走らねばならない。ごった返す橋を後にして、山に分け入った。

 未舗装の道が次第に細くなる。極彩色の山々を背にした牧草地の脇を抜けると、いよいよ山道めいてきて、車は入れなくなる。ここからが本領らしい。「おくのほそ道」の表示が立っている。人っ子一人いない。鳴子峡の混雑がうそのようだ。走っても迷惑をかけることはないだろう。「おくのほそ道」は、トレイルランニングにも向いているのだ。

紅葉づくしの道
紅葉づくしの道

見事な紅葉、思わず立ち止まる

 意気込んで走り出したが、すぐスローダウンした。きついのではない。紅葉が見事すぎるのだ。100メートル走るごとに立ち止まり、写真を撮る。大きく枝を伸ばした見事なナラやブナの黄に、カエデやニレなどの赤、常緑樹の緑が加わる。地面には鮮やかな色を残した落ち葉が重なり、上下左右どこを見ても錦の世界だ。こんな光景を独り占めするぜいたくは、なかなかない。

錦秋の山々
錦秋の山々

名句への道のりは遠し

 芭蕉がこの地を通過したのは夏場だった。解説書によると、風雨に見舞われ、数日間にわたり国ざかいの山中の家に滞在した芭蕉は、人馬同居の家屋を題材に、とてつもなくワイルドな句を残した。

蚤虱(のみしらみ) 馬の尿(ばり)する 枕もと

 風雨とまではいかないが、時雨がやってきた。山形県境を越えたあたりで「ほそ道たどり」を打ち切り、すぐ下の国道を出発地まで駆け降りる。走行距離は16・6キロ・メートル。写真休憩が多すぎて、3時間もかかった。歩いているのとほとんど変わらないペースになってしまったが、旅ランではこういうこともある。

 あとは温泉だ。鳴子温泉付近では、9種類の異なる泉質の湯が出るという。せっかくなので、硫黄泉の湯とアルカリ泉の2施設をはしご。湯船の中で、思い浮かんだ名句の後半をまねてみた。

 「体にしみいる鳴子の湯」……お粗末すぎる。

(「旅ラン」は今回でおわりです。〈上〉はこちら

■「We Love みちのく」記事一覧はこちら

電波望遠鏡の前に設置されたブラックホール顔出しパネルに興じる筆者(国立天文台水沢VLBI観測所で)
電波望遠鏡の前に設置されたブラックホール顔出しパネルに興じる筆者(国立天文台水沢VLBI観測所で)
プロフィル
原田 信彦(はらだ・のぶひこ)
 1967年3月、愛媛県生まれ。大学入学で上京、バブル景気を横目に貧乏学生として過ごし、90年、読売新聞東京本社に入社。横浜支局での警察担当を振り出しに、編成部、松本支局を経て科学部へ。約20年にわたる科学記者生活では、素粒子から天変地異まで、科学が関わる様々な出来事を取材、つくば支局長も務めた。今年2月に東北統括本部に異動し、初めての「みちのく生活」を満喫中だが、コロナ禍のために東北のお祭りはおあずけ状態。趣味はランニングで、フルマラソンの自己ベストは3時間13分。なお、観光地などに置いてある「顔出しパネル」には、必ず顔を出す。

無断転載・複製を禁じます
1654246 0 We Love みちのく 2020/11/26 12:00:00 2020/11/26 12:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/11/20201124-OYT8I50049-T.jpg?type=thumbnail

ピックアップ

読売新聞購読申し込み

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)