駅舎にどでーんと巨大土偶…7色に光る目でお出迎え
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縄文遺跡が各地にあるのも、青森県の大きな魅力だ。世界文化遺産への登録が期待されるなか、遺跡に関心が持てそうな場所を紹介したい。
縄文王国・青森の
木造
駅…高さ17mの「しゃこちゃん」



つがる市にあるJR五能線・木造駅。「もくぞう」ではなく「きづくり」と読むこの駅には、巨大な物体が駅舎にべったり張り付いている。同市の亀ヶ岡石器時代遺跡から出土した「遮光器土偶」をモチーフに、1992年に作られた高さ17・3メートルのモニュメント。愛称は「しゃこちゃん」だ。
日本に駅がいくつあるか知らないが、一、二を争う奇抜さであることは間違いない。それにしてもなぜ、こんなユニークな駅にしたのか。市に聞いてみたところ、87年の国鉄民営化に伴い、木造駅の無人化案が浮上したのが発端だったという。
まちが寂れてしまうと危惧した木造町(当時)は、駅を中心とした活性化策を検討。そこへ「ふるさと創生事業」で国から1億円が交付されることになり、同町のシンボルである遮光器土偶を活用したプランをJR側と話し合った結果、「しゃこちゃん」を作ることになったそうだ。もろもろ含めた総制作費は2億1205万4000円という。
あの交付金が原資になったという「しゃこちゃん」は、目から光を放って列車の到着を知らせるスゴ技を持っており、2020年春の駅改修で光が7色に増強された。駅は今も無事に有人駅として運営され、市によると、列車の到着時間でなくても駅員に頼めば光らせてくれるという。もちろん、節度を守ることが大前提だ。

さて、せっかく木造駅まで来たなら隣の鶴田町に足を延ばし、「鶴の舞橋」を目に焼き付けておきたい。全長300メートル。“日本一長い木造(「もくぞう」と読んでください)三連太鼓橋”というのがうたい文句で、岩木山を湖面に映す津軽富士見湖に架かる。
鶴の舞橋については既に読売新聞東北総局長がこのコーナーで触れているが、重複してでも伝えたい。それほどの絶景なのだ。ちなみに、湖畔に日帰り温泉あり。湯船から眺める橋もオススメです。
縄文遺跡群、来年の世界遺産登録をめざす
冒頭、青森には縄文遺跡があまたあると書いたが、県都・青森市の三内丸山遺跡はその代表格と言えるだろう。1992年に始まった発掘調査で大規模な集落跡が見つかり、2000年に特別史跡に指定されたこの遺跡では、ボランティアが無料でガイドを務めてくれている。

その説明を受けながら広大な敷地を巡るなか、復元された「大型
「物見やぐらだったのかも、祭りの施設だったのかもしれません」。ガイドからそう聞いた時、ふと思った。数千年前、我々の祖先がここにいた。彼らは、ここで何を見つめていたのだろう――。
この三内丸山遺跡も、「しゃこちゃん」の亀ヶ岡石器時代遺跡も、政府が21年の世界文化遺産登録を目指している「北海道・北東北の縄文遺跡群」の構成遺跡。国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)による審査は同年6~7月、中国で開かれると報じられている。世界へ、
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(※注)「大型掘立柱建物」は改修工事のため、21年1月下旬から6月下旬まで見学できない。その他の施設は見ることができる。問い合わせは、三内丸山遺跡センター(017・766・8282)。
