読売新聞オンライン

メニュー

「いとみち」聖地紀行…青森度100%映画、ロケ地を訪ねて

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

We Love みちのくWe Love みちのく

青森支局長 吉田尚大

「舞台めぐりマップ」片手に散策開始

 ヒロインも監督も青森県出身で、ロケ地も全て青森県という映画「いとみち」が全国で上映中だ。6月に着任したばかりで、県庁近くにある青森支局から5キロ以上先には行ったことがなかったが、ロケ地を訪ねる「聖地巡り」に出かけてみた。

青森市から見た夕暮れの岩木山。他の山と連なっていない独立峰のため、実際の標高より高く見える
青森市から見た夕暮れの岩木山。他の山と連なっていない独立峰のため、実際の標高より高く見える

 主人公は青森県弘前市の高校に通う「相馬いと」。アルバイト先のメイドカフェでは、定番の「おかえりなさいませ、ご主人様」のあいさつが「おがえりなさいませ、ごスずん様」という津軽弁になってしまうなど、生粋の津軽人という設定だ。いとは、メイドカフェのスタッフや様々なできごとと出会って成長していく。

明治・大正時代の建物を使った「弘前れんが倉庫美術館」。主に現代アートを展示している
明治・大正時代の建物を使った「弘前れんが倉庫美術館」。主に現代アートを展示している

 青森に来て、ヒロインの駒井蓮さんの写真が入った映画のポスターがあちこちに貼ってあることに気づいた。映画館に見に行くと、窓口にあったのが「舞台めぐりマップ」。さっそく弘前駅に行くと「映画『いとみち』の舞台 『弘前』にようこそ!」というボードやフラッグが聖地らしい雰囲気を漂わせている。商店街を歩いて行くと「弘前れんが倉庫美術館」が見えてきた。映画では、いとのクラスの学生たちが、1945年7月28日の青森空襲の写真を見る場所として登場する。撮影に使われたのは、落ち着いた照明のライブラリーで、広報担当者が「ここの机も映画に登場していますよ」と教えてくれた。

美術館近くの通り。住宅を取り囲むようにレンガ造りの塀が延びている
美術館近くの通り。住宅を取り囲むようにレンガ造りの塀が延びている

 ぜひ行きたかったのは、舞台めぐりマップにある「美術館近くの通り」。古いレンガ塀が残る通りで、帰宅途中のいとが同級生に話しかけて親しくなるという青春時代らしいシーンに使われている。美術館の広報担当者に「歩いて5~6分です」と教えてもらって住宅街に行くと、映画そのままの通りが見つかった。

地元の人々が思い寄せる岩木山ならではの名シーン

 この通りから望むことができるのが、青森県の最高峰・岩木山(標高1625メートル)だ。美しい円すい形は「津軽富士」と呼ばれ、青森出身の作家・太宰治が旅行記「津軽」で「左右の均斉も正しく、静かに青空に浮んでいる」とたたえているほどだ。青森市からもその優美な姿を望むことができ、信仰の対象になるほど親しまれている。

 いとは、この岩木山を望む小さな街で育った。映画では、夕暮れの美しい岩木山が、生き方に思い悩むいとの心情を象徴するかのようにスクリーンに広がる。ラストシーンは、父親と衝突したいとが、それでも一緒に岩木山に登り、眼下に広がる街を見ながら会話をするというものだ。東京本社に勤務していた時なら気に留めなかったかもしれないが、青森の人が岩木山に寄せる思いを知った今では、岩木山ならではの名シーンとして印象に残った。

「さちこのしあわせアップルパイ」。ハート形のソースがメイドカフェらしい
「さちこのしあわせアップルパイ」。ハート形のソースがメイドカフェらしい

 歩き疲れて立ち寄ったのが、弘前城そばの「藤田記念庭園」にある「大正浪漫喫茶室」。いとはメイドカフェでアルバイトを始めるが、カフェの名物は、先輩メイドの「幸子さん」の手作りアップルパイ。映画にも登場した「さちこのしあわせアップルパイ」(880円、税込み)を7月31日まで食べることができる。香ばしいパイや甘酸っぱいリンゴに、メイドカフェらしく皿にハート形に描かれたソースをつけて食べると、味が引き締められておいしい。

沖合に「湯の島」浮かぶ浅虫温泉

JR五能線の板柳駅。弘前行きの普通列車は1日9本だけ
JR五能線の板柳駅。弘前行きの普通列車は1日9本だけ

 最後に立ち寄ったのがJR五能線・板柳駅だ。運転本数は1時間に1本ほどしかないローカル線で、いとが、通学したり、青森市にあるメイドカフェに向かったりする場面に使われた。

 数日後に訪ねたのが、青森駅から車で30分ほどの温泉地、浅虫温泉。海に面した「サンセットビーチあさむし」は、いとがメイドカフェのスタッフらと遊びに来るシーンの舞台となった。800メートルほど沖合には、浅虫温泉のシンボルとなっている「湯の島」が浮かんでいるというのどかな場所だ。

浅虫温泉のサンセットビーチあさむし。沖合に浮かんでいるのが標高約132メートルの「湯の島」
浅虫温泉のサンセットビーチあさむし。沖合に浮かんでいるのが標高約132メートルの「湯の島」

 聖地巡りのおかげで、青森県内の街が少しわかってきた。だが、わからないのは、「語感がフランス語にも似ている」と言われる津軽弁だ。いとの津軽弁はある程度わかったが、いとの祖母役の津軽弁のうち、わかったのは3分の1程度。青森にいる間に聞き取れるようになりたい。

◆弘前れんが倉庫美術館=電話0172・32・8950、毎週火曜日は休館

プロフィル
吉田 尚大(よしだ・なおひろ)
1971年2月、兵庫県赤穂市生まれ。95年に読売新聞東京本社に入社し、千葉支局に。社会部や西部本社(福岡市)、生活部、甲府支局などを経て2021年6月から青森支局長。東北勤務は初めてで、支局の前を通る「青森ねぶた祭」を楽しみにしていたが、新型コロナのために中止となってがっかり。

■「We Love みちのく」記事一覧は こちら

無断転載・複製を禁じます
2224794 0 We Love みちのく 2021/07/22 12:00:00 2021/07/22 12:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/07/20210720-OYT8I50059-T.jpg?type=thumbnail

ピックアップ

読売新聞購読申し込み

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)