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元祖そば街道・村山でそば打ちに挑戦

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山形支局長 赤津良太

オリジナルそば粉で「外二八」…コツは三つの“たて”

 山形に来て感じるのは、そばのうまさと種類の多さだ。田舎そばだけだと思ったら大間違い。板そばや肉そば、げそ天そばなど、店ごとに「売り」がある。そば店が集まる『そば街道』は、県内に9か所あるという、そば好きの県民性。各地に足を延ばし、好みのそばを見つけるのも楽しい。

 今まさに新そばの時期。食べ歩きをしたいと思う気持ちがある一方、全国有数の「そば (どころ) 」山形に住む以上、一度はそば打ちにも挑戦してみたい。「元祖そば街道」を名乗る村山市の「そば打ち道場 農村伝承の家」を訪ねた。

最上川のほとりにある「そば打ち道場 農村伝承の家」
最上川のほとりにある「そば打ち道場 農村伝承の家」

 最上川のほとりの風光 明媚(めいび) な場所だ。近くにある温泉宿泊施設の利用客が、船下りとともにそば打ち体験をしていくことが多いという。今回は10人近い団体客と一緒の体験となった。

おいしいそばを打ってもらおうと説明に力が入る高橋さん
おいしいそばを打ってもらおうと説明に力が入る高橋さん

 手を洗い、エプロンを着けたら準備完了。体験に必要なものはすべて店が用意してくれる。指導してくれるのは、高橋諭史さん(39)。そば打ち歴は優に10年を超える。年間約4000人の利用客のほとんどに対応する「教えのプロ」だ。

 使うそば粉は「でわかおり」。香り豊かで滑らかな食感が特徴の山形オリジナル品種だ。そば粉とつなぎ(強力粉)の割合は83%と17%。いわゆる「 外二八(そとにはち) 」で、弾力と歯切れの良さが楽しめる。そば打ちの初心者でも扱いやすいことから選ばれている。

 そばをおいしく作るコツは、「ひきたて、打ちたて、ゆでたて」の三つの「たて」がそろうことだと、高橋さんは教えてくれた。前日にひいた粉を使い、最後のゆではスタッフ任せ。「あとは皆さんの腕次第。精いっぱい頑張ってください」。高橋さんの呼びかけに、参加者一同、苦笑いを浮かべる。

塊になるようにほぐす…と言われても

 そば打ち体験は、単純に言うと、「練る」「延ばす」「切る」の工程に分かれる。

 まずは、粉の入った直径50センチほどの練り鉢に水を回すように入れる。片手の指を立てて混ぜた後、両手で粉を持ち上げてはもみほぐす。高橋さんの合図で、次は最初の半分ほどの水を入れ、両手で入念にもみほぐす。いずれも粉全体に水分をいきわたらせるためだという。

水をなじませた粉をもみほぐす
水をなじませた粉をもみほぐす

 さらさらした粉がだんだんと粘りけを帯びてゆく。その後も水を少量入れながらほぐしていくが、粉が水分を含めば当然、塊ができやすくなる。この塊がピンポン球ぐらいの大きさになるようにするのがポイントだ。

 塊になるようにほぐす、と言うと、矛盾した表現に思うかもしれない。高橋さんは「無理に握って塊にするのではなく、自然に大きくなっていくのが理想」と言う。もはや禅問答のようだが、実際にやってみせられると、うなずくしかない。

「おおざっぱにやった方がうまくいく」

猫の手のようにして麺棒を転がす
猫の手のようにして麺棒を転がす

 水を入れてはもみほぐす、という作業を3回行った後、「くくり」といって、小さな塊を寄せ合わせて一つの塊にした。その後、高橋さんがさらに練り込み、仕上げをしてくれた。後で知ったのだが、「菊練り」といって、塊の表面からしわや傷を消し、延ばす際に亀裂を防ぐ重要な作業だ。

 こうしてできあがった「そば玉」を、今度は手のひらや麺棒を使って薄く延ばしていく。最初は丸く、だんだん大きくしながら、最後は四角に。厚さを均一にしないと、麺の太さがまちまちになる。生地を回転させたり、麺棒を転がす力を加減したりするが、広げながら四角に整えるのは難しい。

小間板に沿って包丁の刃を入れる
小間板に沿って包丁の刃を入れる

 約45センチ四方の大きさに延ばした生地を4回たたんだら、最後の「切る」の工程だ。まっすぐ切るために、生地の上に載せた小間板に沿って包丁の刃を入れ、切った後は包丁を傾けて小間板を少しずらす。ずらす幅を一定にしないと麺の太さがまちまちになる。

 そば打ちは、一見すると単純だが、理屈通りに事が進まない。粉に触れる時間が長くなると、生地が乾いて切れやすくなる。「おおざっぱにやった方が意外にうまくいくこともある」と高橋さん。そば打ちの極意は、大胆かつ細心に、と勝手に得心する。奥が深そうだ。

2時間弱のそば打ち体験、再挑戦の意欲

出来栄えに満足。さて味の方は……
出来栄えに満足。さて味の方は……

 さて、ゆであがったそばを食べてみた。見た感じも味も、お店で食べるそばと遜色ない、とは私の感想。本当においしい。ただ、「3たて」のうち、自分がしたのは一つだけ。しかも、肝心なところは高橋さんの手が加わっている。2時間弱のそば打ち体験だったが、再挑戦の意欲がわいてくる。

 体験料は一人1100円(税込み)で原則2人以上から。申し込みは「そば打ち道場 農村伝承の家」(電話0237・53・3277)へ。村山市内のそば店や、最上川三難所の船下りなど観光名所に関する情報は、市商工観光課(電話0237・55・2111)に尋ねてほしい。

 なお、市内では11月いっぱい、3たてに「採れたて」が加わった新そばを味わえる「板そばまつり」を開催中だ。

プロフィル
赤津 良太(あかつ・りょうた)
1969年、東京都生まれ。93年、読売新聞東京本社に入社し、新潟支局に赴任。2年余りを佐渡島(旧両津通信部)で過ごす。政治部のほか、長野、千葉両支局で県政を担当。新潟、山形両支局のデスクを経て、医療部に6年余り在籍した。21年1月から山形支局長。山形交響楽団の演奏会を毎月のように楽しめ、地酒やワイン、肉に野菜に果物もおいしい山形の魅力にはまっている。

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使い方
2544420 0 We Love みちのく 2021/11/25 12:00:00 2021/11/25 12:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/11/20211119-OYT8I50044-T.jpg?type=thumbnail

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