人もゲレンデもすごい!つわものたちのスキー天国…東北スキー事情

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東北統括本部 原田信彦

 仙台に着任して2年余り。南国愛媛の出身でありながらスキーにハマった。東京勤務の頃は年に1、2度、関東周辺のスキー場を訪れる程度だったのが、今やシーズン中の週末には早朝からスキー板とブーツを車に積み込み、周辺のゲレンデを目指していそいそと出かけるようになった。どこへ行っても、本当に楽しいのだ。住んでいる宮城県周辺のスキー場を巡って感じた「みちのくスキー」の魅力を紹介する。

宮城・福島を結ぶ阿武隈急行、「薄暮」がオススメです…川面に光る窓の列
みやぎ蔵王えぼしリゾートの急斜面。かなりの恐怖を感じる場所を楽しげに下りていく家族連れの姿に驚く(今年2月)
みやぎ蔵王えぼしリゾートの急斜面。かなりの恐怖を感じる場所を楽しげに下りていく家族連れの姿に驚く(今年2月)

でこぼこ急斜面、「なにこれー」と言っていた少女たちが…

 「中級者向け」と案内のあるコースを下りられるようになると、妙な野心が芽生える。上級者向けの急斜面にトライしたくなるのだ。首都圏に近いスキー場には似たようなチャレンジャーがたくさんいて、スタート直後に転んで悲鳴を上げながらズルズル滑落していく光景も珍しくない。ところが東北のスキー場、特に地元客中心のローカルなゲレンデは、腕に覚えのある老若男女であふれかえっているのだ。

 今年2月、蔵王温泉スキー場(山形市)で、「クレージートラバース」という恐ろしい名のコースに挑戦した。でこぼこの急斜面をどうやって下りようかと怖々のぞき込んでいると、地元の小学生とおぼしき女の子2人組が追いついてきた。

 「なにこれー?がけじゃん!」「こわいー」とおしゃべりしている。見ていると、一人が「よーし、ななめすべりー」と叫んで斜面に飛び込んだ。板をハの字にして滑る基本姿勢ボーゲンを保ち、斜面を横切ってするすると降りていく。もう一人も続く。近くにいたスノーボードの若者集団から「おお、すげえ!」の声。小さい頃からこの腕前である。

スキー歴60年超の猛者「まだまだ修行ですよ」

 お年寄りもすごい。みやぎ蔵王白石スキー場(宮城県白石市)に、平均斜度がジャンプ競技の滑走路と同等の35度、「熊落とし」の異名を持つ名物コースがある。スタート場所に立つと絶壁そのものだ。そんな斜面を、板を担ぐだけでも大変そうだったおじいさんが、かなりのスピードで自在に滑り降りていく。みやぎ蔵王えぼしリゾート(宮城県蔵王町)のゴンドラで一緒になった男性は、なんとスキー歴60年超という。自宅の庭にも雪山を作って練習しているそうだ。「全然飽きない。まだまだ修行ですよ」。ひれ伏すしかない。こういう方々に交じって滑れば上達するだろうか。

ファットスキーで新雪に挑戦したものの…ツリーランは憧れ

 近年、東北のスキー場では、場内の樹林帯を開放した「ツリーラン」のコースが増えてきた。仙台から車で約2時間の 夏油(げとう) 高原スキー場(岩手県北上市)は、その代表格という。山スキーの気分が味わえると聞き、1月中旬に訪れた。

 4メートルを超える全国有数の積雪量。時には一晩でリフトの座席まで埋もれてしまう豪雪地だ。レストハウスのレンタルコーナーで、新雪に適した「ファットスキー」を借りた。板の最もくびれている中央付近の幅が、普通の板で7~8センチなのに対し、ファットスキーは10センチ以上もある。見るからに太っちょだ。この形状のおかげで、軟らかい雪にも沈みにくいという。

 まずは新雪がたっぷり積もったゲレンデへ繰り出した。滑り出したとたん、ファットスキーの不思議な感覚にびっくりした。板が地面に着いている感触が少ない。宙に浮いているようだ。「地に足が着かない」とはこのことだ。面白い一方、とても不安だ。案の定バランスを崩し、コース脇の深い雪に突っ込んであおむけに転んだ。

新雪に突っ込んで大転倒した直後。たまたま撮影していた動画に映っていた。深い雪に刺さったファットスキーが情けない(今年2月、夏油高原スキー場で)
新雪に突っ込んで大転倒した直後。たまたま撮影していた動画に映っていた。深い雪に刺さったファットスキーが情けない(今年2月、夏油高原スキー場で)

 起き上がろうと雪を手のひらで押したが、腕が新雪にずぶずぶ沈むばかりで支えにならない。スキー板も深く刺さって抜けない。何より転倒場所はリフトのすぐ近くだ。これは恥ずかしい。焦る。上半身の周囲から雪を集めて下方に押し固めながらもがくこと10分余り、ようやく立ち上がった時にはスキーウェアは雪まみれ、内側は汗だくになっていた。

 ツリーランのコースは、国内有数の規模を誇る安比高原スキー場(岩手県八幡平市)など、あちこちのスキー場で設定されているが、いずれも手入れがされていない深雪の世界。多くは「上級者限定」となっている。ゲレンデですらこのありさまの自分には、まったく時期尚早であると思い知った。腕を磨いていつか挑戦したい。

憧れのツリーランコースを入り口からのぞいた。縦横にシュプールが描かれていた(2月、安比高原スキー場で)
憧れのツリーランコースを入り口からのぞいた。縦横にシュプールが描かれていた(2月、安比高原スキー場で)

シーズンはまだまだ終わらない

 今シーズン、東北のスキー場はどこも豊富な降雪に恵まれた。一部はゴールデンウィーク頃まで営業している。あまりの豪雪のため冬場は営業せず、4月上旬にようやくオープンして7月上旬頃まで滑れる月山スキー場(山形県西川町)のような変わり種もある。みちのくのスキーシーズンはまだまだ終わらない。スタッドレスタイヤを、いつ履き替えようか?

眺め良し味良しの「ゲレ飯」、1~2人用席も

晴天のゲレンデを眺めながらのラーメン。「ゲレ飯」は至福のひとときだ(2月、蔵王温泉スキー場で)
晴天のゲレンデを眺めながらのラーメン。「ゲレ飯」は至福のひとときだ(2月、蔵王温泉スキー場で)

 スキー場に欠かせないのが、レストハウスで味わうランチ。「ゲレ飯」「ゲレ食」などと呼ばれる。最近、多くのレストハウスではコロナ対策で1~2人用の席を設けており、ゲレンデを眺めながら食事を楽しめるところも。地元の食材を用いるなど、メニューに工夫を凝らすレストランも増えている。ぜひ利用したい。

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プロフィル
原田 信彦(はらだ・のぶひこ)
1967年愛媛県生まれ。約20年にわたり、科学記者として素粒子から天変地異、最先端医学まで、科学に関わる様々な出来事を取材、つくば支局長も務めた。現在、みちのく生活3年目を満喫中。コロナ禍で2年連続中止となったねぶたと 竿燈(かんとう) 、さらに昨年は規模を縮小した仙台七夕の完全形を、今年こそ見たいと願っている。

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2900074 0 We Love みちのく 2022/04/07 12:00:00 2022/04/07 17:07:42 https://www.yomiuri.co.jp/media/2022/04/20220401-OYT8I50087-T.jpg?type=thumbnail

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