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    情報戦術が忍者の本業

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    • 世界中に拡散された「8万5000ドルの給料でも忍者不足」のフェイクニュース
      世界中に拡散された「8万5000ドルの給料でも忍者不足」のフェイクニュース

     「忍者は8万5000ドル(約940万円)もの高給を得られるのに、伊賀ではなり手が足りない」――。こんなニュースが世界を駆け巡り、伊賀市や観光協会に、「忍者になりたい」などの申し込みや問い合わせが相次いだ。市長は、これをフェイクニュースだとして打ち消しに躍起となったが、この一件から学ぶことはたくさんある。

     忍者の本業は「情報収集」「伝達」「操作」にあり、これによって天地を造るくらいの大きなことを成し遂げるとされた。情報を握ることは、死活問題だったのだ。

     そのため、忍術書には情報に関する記述が数多くある。例えば『用間加條伝目口義』には、「大忍之大事」として、「平日スヘテ諸国へ手寄リヲツケ、知音ヲコシラヘテ万事通達自由ニナシヲクヘシ」とある。

     日頃から、さまざまな知り合いを作っておいて、多様な情報を得ておくことが重要だと説いている。そして、情報が確かなものかどうか、「見詰め、聞き詰め」る必要をうたっている。

     それならば、「忍者市」を宣言した伊賀市は、まさに情報戦術にけていなければならないはずである。

     現代では、英語で興味深い情報を発信することによって、瞬時に世界に拡散する。今回のニュースを逆手にとって、例えば「忍者世界一選手権」を開催して、数か国語を操り、知的・肉体的に秀でた「忍者」を、その金額で職員として雇えば、どれだけ伊賀の観光に役立つか計り知れない。

     そのためにも、まずは私の書いた『忍者はすごかった』を、市の職員すべてに読んでいただきたい。

    • 山田雄司教授
      山田雄司教授

     山田雄司・人文学部教授

     日本古代・中世信仰史。京都大卒、筑波大院修了。国際忍者学会の運営委員(大会)を務める。

    2018年08月08日 05時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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