ストレス対策今も有益

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 約100日間の「忍者展」が2016年7月2日から、東京・お台場の日本科学未来館で開催された。三重大学は特別協力でこの企画に協力した。展示用の忍者食作りと、それらの説明文の協力だけだと思っていたら、主催者から「忍者の日常生活における食事も展示したい」と依頼された。

 さて、忍者食の史料はあるが、普段の食生活を紹介した史料は見つからないので困惑した。忍者は午前中は田畑や山の仕事をこなし、午後に忍術等を訓練したとされるので、それを主な根拠として、当時の農民の食事を推測し、回答した。だが、そのような史料は存在するのだろうか。

 軍事行動中に兵士に配給される野戦食は、健康維持を考えた栄養補給はもちろんだが、意欲を高める食材や菓子類も工夫されている。自給だった忍者が、軍隊のような野戦食を作るはずがない。食べられる野草は熟知していたので、食糧は道中でいくらでも見つけられるからだ。

 それでも携行した「兵糧丸」「飢渇丸」「水渇丸」を前回までに紹介してきた。当初はそれぞれ別物と思って、各使用目的を明らかにすべく調査研究を始めた。が、そのうちいずれもストレス反応に対する予防食(薬)であったらしいことが分かってきた。

 そのため、ストレスの科学をにわか勉強することにした。そして、ストレス反応を上手に回避することが、忍びに何が何でも必要であったに違いないと気が付いた。

 誰でも厳しい局面になると緊張する。心拍数が上がり、喉が渇き、胃が痛くなり、その場から逃れたい気持ちに駆られる。これは、危機を回避して生き延びる本能で、突然襲ってくるこの反応の回避は難しいとされている。

 想定外の局面に出くわすと、忍者でも冷静な判断は難しかったに違いない。忍者は、危ないと察したら忍者食を口に入れ、本能的なストレス反応による緊張をほぐしたのではないか。

 忍びの前と後に行う忍者の祈り(印、九字護身法)と、ゆったりとした深い呼吸(息長おきなが)も心拍数を下げ、落ち着かせる効果がある。印や息長や忍者食で精神を安定させ、登器、開器、火器などの忍び道具を駆使し、冷静かつ機敏に情報収集した忍者の知恵は、今のストレス社会で活躍している方々に、有益な情報になるのではないか。

<<<忍者の知恵から学ぶ ストレス対策案>>>

◆平常時

▽ストレスについての知識を深める

▽自分流の緊張をほぐす方法を見いだしておく

▽祈りや深い呼吸を身につける(忍者は印や息長)

◆強いストレスに襲われた時

▽体を休め、深呼吸などでリラックスさせる

▽脳に安心感を与える甘いもの(忍者は兵糧丸)を摂取

▽滋養強壮に役立つ食材(忍者は飢渇丸)を食べる

▽胃や喉を癒やすもの(忍者は水渇丸)を食べる

久松眞・特任教授
久松眞・特任教授

 久松眞・名誉教授

 食品科学。同志社大卒、三重大院修了。機能性食品の開発などを手掛ける。

44020 0 三重大発!忍び学でござる 2018/10/10 05:00:00 2018/10/10 05:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20181010-OYTAI50000-T.jpg?type=thumbnail

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