薬草自在に使い分け

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 忍者は忍術を駆使して、情報収集や諜報ちょうほう活動・戦闘活動などを行う集団であり、忍術には、薬学に関する知識が含まれていることは既に記述した。薬と毒に関する知識が豊富で、野山に生える薬草や毒草を見分けたり、使い分けたりする能力にたけていたとされる。

 忍術書には、病気やけがの治療、健康な身体の維持、暗殺や他人を操る薬、不思議な効果をもつ薬(秘薬)、毒薬として、多くの薬草・毒草が記述されている。

 自分や仲間のための薬

 ▽虫薬、腹痛止め……腹痛の原因は回虫などの寄生虫が多く、虫薬といえば腹薬のことをいう。(正忍記)

 ▽眠気覚まし……き茶とアサリの干したものを混ぜた薬。飲むと眠くならないという。(甲賀流武術)

 ▽船酔いの薬……白角豆(マメの一種)と梅干しの肉を混ぜたもの。酔い止めとして使っていた。(甲賀流武術)

 不思議な薬(秘薬)

 ▽貴妙散……日射病や腹痛、頭痛など急な病にきく万能薬として用いたという。白蛇と大唐米(コメの一種)を粉末にしたもの。(用間加條伝目口義)

 ▽阿呆薬あほうくすり……大麻の葉を乾燥させて粉末にしたもの。毒成分はテトラヒドロカンナビノール。(万川集海)

 毒薬

 ▽馬銭マチン……ストリキニーネなどを成分とする有毒植物。犬殺し薬。(正忍記)

 ▽トリカブト……アコニチンなどを成分とする有毒植物。(万川集海)

 かつては、身近に医師や薬売りがいないことや、経済的な事情などから、よほどの病気でないと医者にかかることができなかったり、薬を買えずに民間薬で済ませたりすることが多かった時代だった。健康な身体と日常生活の維持に、また、病気やけがをした時に、それぞれの状態を改善するため、表に示すような多くの薬草が用いられた。

 忍者が利用していたこれらの薬草は、その地域に暮らす農民たちが平素から使っていた。民間での伝承に基づいて使われる薬草である。

 現在も、下痢止めや胃腸薬としてゲンノショウコ、苦みによる健胃薬(胃もたれ)としてセンブリ、利尿作用や便通改善としてドクダミなどが生薬として用いられている。

◆薬草の利用例

効能      薬草名(利用部位)

下痢止め    キハダ(樹皮)、ゲンノショウコ(全草)

健胃・苦み   キハダ(樹皮)、センブリ(全草)、タンポポ(根)

下剤      ヱビスグサ(種子)、ドクダミ(全草)、ノイバラ(実)

利尿      ウツボクサ(花穂)、カワラケツメイ(全草)、キササゲ(果実)、

        スギナ(全草)、ドクダミ(全草)

血糖降下    タラノキ(根皮)

せき止め    オオバコ(葉、種子)、ナンテン(果実)

喉の腫れ    スイカズラ(花)、大根(根)、ハス(根茎)

しゃっくり   カキ(へた)

風邪の初期   クズ(根、でんぷん)、ショウガ(根茎)、ネギ(葉)

美肌      ハトムギ(果実)

強壮      ウコギ(樹皮)、クコ(果実、葉、根皮)、ナツメ(果実)、

        ヤマノイモ(根茎)

山本好男・特任教授
山本好男・特任教授

山本好男・名誉教授

 中毒学、環境化学。日本大院修了。植物が持つ毒や薬効成分、機能性物質などを研究する。

無断転載禁止
1142642 0 三重大発!忍び学でござる 2020/04/01 05:00:00 2020/04/01 05:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/04/20200401-OYTAI50001-T.jpg?type=thumbnail

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