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    バリアフリーの観光へ…県、各地域でガイド育成

    障害に応じて工夫を

    • 椎木さんをサポートしながら路地裏を散策する参加者(鳥羽市の答志島で)
      椎木さんをサポートしながら路地裏を散策する参加者(鳥羽市の答志島で)
    • 古い井戸のポンプをさわる四元さんら
      古い井戸のポンプをさわる四元さんら

     障害者や高齢者らに優しいバリアフリー(障壁のない)観光を地域に浸透させようと、県は今年度から、観光ボランティアガイドを対象にしたバリアフリーガイド研修をスタートさせた。鳥羽市のNPO法人「伊勢志摩バリアフリーツアーセンター」に委託し、10月30日には伊勢志摩地域で研修会を開催。県は各地域でバリアフリーガイドを育成することで、「誰もが安心して楽しめる観光地づくり」を進めたい考えだ。

     鳥羽市の離島・答志島。約2000人が暮らす伊勢湾最大の島には、縄文・弥生時代の遺跡が残り、集落は迷路のような細い路地と急な坂道が入り組んでいる。

     「今から『龍神さん』と呼ばれるシイの木がある美多羅志みたらし神社に参拝します。島はバリアフリーではないので階段を上がります」

     10月30日に答志島で行われたバリアフリーガイド研修。参加者25人は、離島を楽しむツアーなどを企画する「島の旅社」の山本加奈子さん(50)の案内で、車いすに乗った椎木眞夏さん(40)をサポートしながら階段を歩いた。目の不自由な人が持つ白杖はくじょうを手にした四元正志さん(69)には、古い井戸を触ってもらったり、しめ縄を作るワラの香りをかいでもらったりしながら路地裏を散策した。

     2人は実地研修のアドバイザー役。椎木さんは「バリアフリー観光の意識が高まれば、障害者が門前払いされることも少なくなる」と評価。普段から積極的に旅をしているという四元さんは「旅先で周りにあるものをさわらせてくれるような人がいると、まちの雰囲気と温かい気持ちが伝わってくる」と話した。

    事前の丁寧な聞き取り必要

     伊勢志摩バリアフリーツアーセンターが重視しているのは、「行けるところ」よりも「行きたいところ」へ行く観光だ。同センターは、県内の観光・交通・宿泊施設などを調査。年間1000件近く寄せられる旅の相談に対して「パーソナルバリアフリー基準」という考え方のもと、個々の障害の状況などに応じて旅行を楽しめるよう、観光地のバリアを乗り越える工夫を提案している。

     野口あゆみ事務局長(47)は「バリアを乗り越えて旅をしたいという本人の意思や同行者の思いによっても観光の内容は違ってくる。車いすを使用している人も身体の状況は様々で、一人一人に合ったガイドをするには事前の丁寧なヒアリングが欠かせない」とアドバイスする。

     研修会に参加した志摩市の瀧勇さん(74)と泰子さん(75)夫妻は「目が不自由な人には五感を考えたガイドが必要だと感じた。特別に身構えるのではなく、立体地図を用意するなどの工夫を凝らして案内していきたい」と話した。

     県は今年度中にあと1地域で研修会を予定しているほか、来年度以降も残る地域で研修会を開催したいとしている。(新良雅司)

    2018年11月09日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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