養殖業高水温適応へ支援 飼料開発や貝の選抜育種

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養殖場でマハタにえさをやる西村さん(大紀町で)
養殖場でマハタにえさをやる西村さん(大紀町で)

 県は2022年度、県内の魚類や真珠などの養殖業者が気候変動に適応できるよう、新しい飼料の開発や、高温に強い貝を掛け合わせる「選抜育種」などの支援に取り組む。近年、海水の高温化が背景にあるとみられる水産物の被害が続いているためで、事業費として22年度当初予算案に1600万円を盛り込んだ。

 「連日、魚の死骸が水面に浮いている状況でした」

 大紀町でマハタなどを養殖する西村宗伯さん(51)は、養殖場の水温が連日、30度となった20年の夏をこう振り返る。出荷予定だったマハタ約5000匹中、約4000匹が死んだという。

 三重は養殖マハタの生産量で全国1位を誇る。養殖業歴20年の西村さんは10年前からマハタ養殖を手がける。ただ、数年ごとにへい死(大量死)に見舞われ、20年は特に多かった。「こうした不安定な状況が続くと、なかなかマハタを仕事の柱にできない」と、昨秋から年明けにかけて、新しい稚魚購入は取りやめた。

 近年、県内の養殖業界では水産物のへい死が相次ぐ。マハタは20年、平均で30%近くがへい死。アコヤガイの稚貝は19年のへい死率が70%、20年も44%に上った。

 背景の一つとみられているのが、海水温の上昇だ。県水産研究所によると、英虞湾の年間平均水温は、この90年で1度ほど上昇。黒潮蛇行の影響もあるとみられているが、20年の平均水温は20・6度と過去最高を記録し、21年も20・4度と、近年の高温傾向が目立つ。

 水温が上がり過ぎると魚や貝は衰弱し、病気が発生すれば、より死にやすくなる。県は「気候変動の影響は広がっており、高水温傾向が今後、収まるとは考えにくい」として、22年度から、養殖業が気候変動に対応できるよう、支援に乗り出すことにした。

 魚類については、免疫力を高める飼料の開発に取り組む計画で、県水産研究所の担当者は「乳酸菌などの活用を検討している」と話す。アコヤガイでは、高温の環境にも耐えられる強い貝を選び出した上で掛け合わせる「選抜育種」を行う予定だ。近年同様にへい死があったカキや、収穫量が不安定なアオサノリなどについても支援策を検討する。

 西村さんは「マハタは成長が早いなどの魅力もあり、リスクが減るならぜひ養殖を続けたい。県産の魚のブランド力を高めるためにも、力を貸してもらえるとうれしい」と県の支援に期待を寄せている。

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2772701 0 ニュース 2022/02/19 05:00:00 2022/02/19 05:00:00 2022/02/19 05:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2022/02/20220218-OYTNI50025-T.jpg?type=thumbnail

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