「ある開花」初版本復刻へ 伊賀市岸宏子さん生誕100年

スクラップは会員限定です

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

岸さんの代表作「ある開花」の帯付き初版本を手にする福田代表(いずれも伊賀市役所で)
岸さんの代表作「ある開花」の帯付き初版本を手にする福田代表(いずれも伊賀市役所で)

 伊賀市は、ラジオやテレビドラマの脚本を数多く手がけ、2014年に亡くなった市出身の放送作家、小説家の岸宏子さんの生誕100周年記念事業として、代表作「ある開花」(1965年、墨水書房刊)の初版本を復刻する。事業は伊賀文学振興会が協力。23日には同振興会の福田和幸代表が市役所で記者会見し、原本として帯付きの初版本を入手したことを明らかにした。復刻本は8月頃の発刊を予定している。(尾崎晃之)

 岸さんは1922年に旧上野町で生まれた。50年頃から脚本を書くようになり、江戸時代の藤堂家のお家騒動を題材にした90年放送のNHKドラマ「不熟につき…」は、放送文化基金賞を受賞。小説も多数発表しており、紫綬褒章、勲四等宝冠章などを受けた。

見つかった初版本にはさまれていたはがき。左は岸さんの直筆(伊賀市で)
見つかった初版本にはさまれていたはがき。左は岸さんの直筆(伊賀市で)

 「ある開花」は、伊賀くみひも職人の女性が、織り賃は安いのに商品は高価で売られていることに気づき、ひも屋を志す物語。映画や舞台の原作にもなった。現在は絶版で、岸さんの死後、著作権は市に寄贈された。

 記念事業では500冊を製本予定で、100冊は市内の学校などに配布。残り400冊は書店に販売委託することにしている。

 初版本は当時、400円で販売された。上野図書館でも初版本を所蔵しているが帯はなく、発刊時に付いていたかどうか不明だったという。

 同振興会では完全復刻を目指すため、帯の有無について古書情報を調査。会員が今月15日、インターネットで帯付きの初版本の写真を発見し、東京の古書店から取り寄せた。帯には、作家仲間の書評などが印刷され、「非常に面白い小説で、岸さんの特徴が十分出ているものだ」と記されていた。

 また、見つかった本は、岸さんが、伊賀市ゆかりの作家、横光利一(1898~1947年)を研究していた男性に贈ったものと判明。岸さんと横光は親戚関係にあり、その縁で交流があったとみられる。本には、東京で開かれた出版記念会への招待はがきと、出席に感謝する岸さん自筆のはがきがはさまれていた。

 福田代表は「多くの方に岸さんの作品に親しんでほしい。希少な帯付き初版本を入手できたことに運命的なものを感じる。はがきは一般公開の機会を設けたい」と話している。

 一方、伊賀市と伊賀文学振興会は、岸宏子さん生誕100周年記念事業として、岸さんの作品(小説、脚本、エッセー)の中から、お気に入りやお薦めの一冊を選ぶ「私のイチオシ 岸作品」を募集している。作品の概要と魅力を1200~2000字(400字詰め原稿用紙3~5枚)程度の推薦文にまとめ、応募する。締め切りは31日(必着)。

 同振興会が審査し、優秀作品には記念品を贈呈予定。市のホームページや広報いが、記念事業の一つとして8月に開催予定のイベントなどで発表することにしている。応募作品は、〒518・0873伊賀市上野丸之内117の13、伊賀市文化振興課に郵送する。メール(bunka@city.iga.lg.jp)でも受け付ける。問い合わせは同課(0595・22・9621)。

スクラップは会員限定です

使い方
「地域」の最新記事一覧
3025026 0 ニュース 2022/05/24 05:00:00 2022/05/24 05:00:00 2022/05/24 05:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2022/05/20220523-OYTNI50060-T.jpg?type=thumbnail

ピックアップ

読売新聞購読申し込みキャンペーン

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)