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    (1)カビや孤立 心身限界に

    プレハブ仮設

    • 石巻市の開成第3仮設。今なお多くの被災者が暮らしている
      石巻市の開成第3仮設。今なお多くの被災者が暮らしている

     石巻市の開成第3仮設住宅。樋口敏雄さん(66)は時折、むせるほどせき込む。「震災前は、こんなことはなかったのに……」。吸入薬など3種類の薬が手放せなくなった。

     妻の恵さん(55)と2DKのプレハブ仮設住宅に入居したのは2011年6月。12年4月に突然、激しいせきに襲われて入院した。診断は喘息ぜんそく。2週間後に退院したが、1年後に再発した。病院を訪ね回り、アレルギー疾患に定評のある神奈川県の病院で、原因は住宅内のカビだと言われた。

     国立医薬品食品衛生研究所(東京)は石巻市で昨年に3回、仮設住宅の計約340人を検診した。喘息など呼吸器異常の疑いが見つかったのは2割近くに上った。一般成人の喘息の有病率は5・4%。大幅に高い結果が出た理由について、検診に携わった同研究所衛生微生物部の渡辺麻衣子室長は「仮設住宅はカビが発生して呼吸器の病気が起きやすい」と指摘する。

     災害救助法は、避難所の被災者になるべく早く仮設住宅に入居してもらうため、施工期間の短いプレハブでの建設を求めている。「仮設」の名の通り長期間の居住を想定していないため、老朽化が早く、通気性にも課題がある。

     樋口さん宅の畳の裏は大量の白いカビで覆われていた。畳を外して部屋をアルコール消毒したところ、症状はいったん治まったが、再び畳を入れると症状がぶり返すようになった。今秋、復興住宅に移ることになったが、「梅雨を乗り越えられるだろうか」と不安を口にする。

     プレハブ仮設住宅の1月現在の入居者は、ピーク時より3割少ない3万5332人。自宅を再建した被災者らが退居したためで、年金暮らしの高齢者が多く残されている仮設住宅もある。

     気仙沼市の岩ヶ崎公園仮設住宅は入居者約50人のうち10人以上が引っ越した。残る住民の半数近くが高齢者だが、お茶会を開いても、参加者が集まらなくなっている。「友人や知人が減ったことで、外に出る機会を失い、精神的に弱ってしまった人もいる」と自治会長の伊勢和弘さん(80)は明かす。

     なお続く仮設暮らし。震災から4年を迎えるなか、被災者の体も心も限界に近づいている。

     室崎益輝・神戸大名誉教授(防災計画学)の話「全国一律の仕様で仮設住宅を設けるのではなく、地域の気候や生活スタイルに合わせた機能と構造にするべきだ。仮設に住んだことによる疾病で苦しむ人がいる以上、その人たちが優先的に復興住宅に移れるようにする配慮も必要。自力再建が難しい人が仮設に残る傾向があり、見守り活動は今後さらに重要度が増す」

    2015年03月01日 05時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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