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3人で自立へ一歩

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仕事が終わった幸恵さん(左)を最寄り駅で出迎え、車まで案内するやし子さん(7月30日、東松島市で)
仕事が終わった幸恵さん(左)を最寄り駅で出迎え、車まで案内するやし子さん(7月30日、東松島市で)

「おいしいねー!」と幸恵さん(左)の頬をなでる結愛ちゃん。抱っこする洋さんも笑顔になる(7月24日、東松島市で)
「おいしいねー!」と幸恵さん(左)の頬をなでる結愛ちゃん。抱っこする洋さんも笑顔になる(7月24日、東松島市で)

 この春から家族3人での暮らしを始めた藤原洋さん(32)と幸恵さちえさん(31)、長女の結愛ゆあちゃん(3)。それまで同居していた洋さんの母と弟が引っ越した。自立を目指す夫婦は、大きな一歩を踏み出した。

 経済的にも他人の支えなしに生きたい。幸恵さんは昨年5月から東松島市内の果樹園で働いている。週5回、ほかの障害者と一緒に野菜の種まきや収穫に汗を流す。今は最寄り駅まで母の内海やし子さん(61)が送迎するが、一人で行けるようにと今年3月、盲導犬の利用を申請した。

 結愛ちゃんの将来を考え、貯金も始めている。毎月数万円を結愛ちゃんの通帳に入れ、おこづかいで余った分はタンス預金に回す。

 夫婦にとって自立とは何か。「守りたいものを守る力を持つことです」と力強い。

 結愛ちゃんがアンパンマンの絵本を手に、洋さんの膝の上に座った。

 「パパ、読んで」

 洋さんは困った。21歳まで視力があったから、記憶と感覚を頼りに掃除も料理もできるが、目の前にある本は読めない。仕方ないので、絵本を開き、でたらめな物語を話し出した。

 「むかーしむかし、桃の中からアンパンマンが生まれました」

 しばらく目で絵本を追っていた結愛ちゃんは、1分もしないうちに飽きて人形遊びを始めた。

 ささいなことだが、こういう時、洋さんは不安になる。全盲の自分がどんなに努力しても、世間一般が求める「子育て」には及ばないのではないか。むしろ、娘の成長に何か良くない影響が出てしまったら――。

 それでも結愛ちゃんの誕生は、2人に生きる意味を与えてくれた。娘のいない頃は暗闇の世界に絶望しながら、何となく日々を過ごしていたように思う。「結愛は私たちの光なの」と幸恵さんは言う。

 これからもさまざまな苦難が待ち受けているだろう。「どんな困難も乗り越えていける子になってほしい」と夫婦は願う。

 結愛ちゃんなら大丈夫。逆境に立ち向かう両親の姿を、いつも傍らで見ているから。

 (この連載は、益子晴奈が担当しました)

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36467 0 希望の瞳~全盲子育て~ 2018/08/12 05:00:00 2018/08/12 05:00:00 仕事が終わった幸恵さん(左)を最寄り駅で出迎え、車まで案内するやし子さん(7月30日、東松島市で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20180811-OYTAI50012-T.jpg?type=thumbnail

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