語り部と生徒育む絆 気仙沼の元消防士・佐藤さん 都内中学生と被災地巡る

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

南三陸町の旧防災対策庁舎そばの公園で中学生に被災状況を説明する佐藤さん(左)
南三陸町の旧防災対策庁舎そばの公園で中学生に被災状況を説明する佐藤さん(左)

 東日本大震災で妻を亡くし、語り部として活動する気仙沼市の佐藤誠悦さん(68)が、修学旅行で三陸の被災地を訪れた東京都内の中学生に随行し、案内にあたった。佐藤さんが学校で講演したことをきっかけに生まれた生徒との交流から実現した。佐藤さんは「これからもこの絆を育んでいきたい」と話している。

 消防士だった佐藤さんは、震災で発生した火災の消火にあたっている間、妻の厚子さん(当時58歳)を津波で亡くした。厚子さんは、介護施設の職員で、一人暮らしの高齢者を訪問中、津波に巻き込まれたとみられる。佐藤さんは引退後、語り部として震災の記憶を伝える活動を続けている。

 現地で案内した工学院大付属中学校(東京都八王子市)には2017年11月、学校の招きで1~3年生を前に被災体験を講演した。

 佐藤さんは、厚子さんの安否を案じながらも消防士としての任務を全うしたこと、行方不明となっていた厚子さんと対面できたのは震災発生から6日後だったことを涙ながらに語った。佐藤さんの語りに心を動かされた飛川優さん(現・同付属高2年)は、個人的に気仙沼市に足を運んで佐藤さんと交流を始めた。

 生徒有志で、佐藤さんの口癖「ベリーグット」から「ちーむべりぃぐっと!」と名付けたグループを結成。動画投稿サイト「ユーチューブ」で、ペットボトルを使った湯たんぽの作り方などの防災情報を発信している。

 同校は5年前から修学旅行で被災地を巡っており、今年は今月8~11日の日程で、気仙沼市や南三陸町などを訪れることに。旅行前、飛川さんの強い勧めで、佐藤さんが現地で案内を務めることになった。

 9日には、津波が屋上に達し、43人が犠牲になった南三陸町の旧防災対策庁舎を訪れた。佐藤さんは、「屋上に残った人たちはネクタイをほどいて繊維にしてから火をつけ、一晩過ごした」と説明した。同校2年の生徒(13)は「震災当時は幼稚園年少で、ずっと遠くのことに感じていたが、ここに来て初めて津波のすさまじさを実感した」と語った。

 佐藤さんは、締めくくりに、心臓マッサージなど救命訓練を指導した。「これからも若い人に震災の体験を伝え、災害時に自分や大切な人を守るヒントにつなげてほしい」と願っている。

無断転載・複製を禁じます
1619417 0 ニュース 2020/11/12 05:00:00 2020/11/12 05:00:00 2020/11/12 05:00:00 震災復興祈念公園で佐藤さんの話に聞き入る生徒ら(9日、南三陸町で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/11/20201112-OYTNI50000-T.jpg?type=thumbnail

ピックアップ

読売新聞購読申し込み

アクセスランキング

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)
ページTOP
読売新聞社の運営するサイト
ヨミダス歴史館
ヨミドクター
発言小町
OTEKOMACHI
元気ニッポン!
未来貢献プロジェクト
The Japan News
YOMIURI BRAND STUDIO
美術展ナビ
教育ネットワーク
活字・文化プロジェクト
よみうり報知写真館
読売新聞社からのお知らせ