気仙沼 津波体験館あす閉館 コロナ追い打ち

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大画面の映像と座席の振動や風で押し寄せる津波を再現した体験館(20日、気仙沼市で)
大画面の映像と座席の振動や風で押し寄せる津波を再現した体験館(20日、気仙沼市で)
津波体験館が併設されている唐桑半島ビジターセンター
津波体験館が併設されている唐桑半島ビジターセンター

 気仙沼市の「唐桑半島ビジターセンター」に併設され、津波を疑似体験できる国内初の施設「津波体験館」が26日、38年の歴史に幕を閉じる。大画面に映し出される巨大な波の映像とともに揺れや風を体感できる全国でも珍しい施設には、最盛期に年間6万人以上が訪れた。最近はコロナ禍のあおりもあり、入館者数が激減。老朽化したセンターの改修工事に伴い、閉館が決まった。(奥田樹)

 体験館は明治や昭和、チリ地震で三陸が見舞われた津波被害の記憶の継承と防災意識の向上を目的に1984年に開館した。縦約2メートル、横約5メートルの大画面に津波の映像を映し出し、映像に合わせて48席ある座席が振動。左右の鏡に映像を反射させて横からも波が打ち寄せるように見える。小刻みな揺れと同時に 轟音ごうおん が鳴り響き、風も吹き付け、臨場感あふれる作り。体験した記者も思わず体がこわばった。

 開館当初は1933年(昭和8年)の昭和三陸地震の津波などの映像を流していた。11年前の東日本大震災で停電などの被害はあったが、高台にある施設は津波の被害を免れ、翌4月に営業を再開。2013年の改修で震災の映像を追加した。現在は津波映像のほかに、地元漁師の被災体験など計11分のプログラムを流す。東京都大田区から訪れた女性(61)は「揺れながら見る津波の映像は本当に怖かった。怖いからこそ記憶に残り、今後の防災に役立つと思う。被災地にあることに意義がある」と閉館を惜しんだ。

 ピークの1991年度には約6万3000人が訪れた。その後は市中心部から車で約30分という立地もあり徐々に減少。改修直後の13年度は前年度の2倍の約1万2000人が訪れたが、その後は伸び悩んだ。2020年春以降に感染が拡大した新型コロナウイルスが追い打ちとなり、20年度は1334人、21年度は2099人にとどまった。収益も圧迫され、市観光課によると、ここ数年は年間約350万~400万円の赤字だった。

 トレッキングコース「宮城オルレ」の気仙沼・唐桑コースが開設されたのを機に、センターは改修後、キャンプなどアウトドアの拠点施設に生まれ変わる。ただ、体験館の閉館後もセンターでは仮想現実(VR)を活用し、津波災害の脅威を伝え続ける方針だ。

 体験館を運営する市観光協会唐桑支部の千葉光広事務局長(66)は「海には恵みだけでなく、脅威もあることを伝えられた。閉館で寂しさはあるが、これからも様々な形での伝承を模索したい」と話した。

 開館時間は午前8時半~午後4時半。入館料は大人380円、高校生260円、小中学生160円。

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