<1>ルーツの地 思い深く

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橿原神宮での参拝を終えられ、迎える人たちに笑顔をみせられる天皇、皇后両陛下(2016年4月3日、橿原市で)
橿原神宮での参拝を終えられ、迎える人たちに笑顔をみせられる天皇、皇后両陛下(2016年4月3日、橿原市で)
大神神社の大鳥居前で天皇陛下参拝時を振り返る鈴木宮司。大神神社は三輪山(後方)をご神体とする(桜井市で)
大神神社の大鳥居前で天皇陛下参拝時を振り返る鈴木宮司。大神神社は三輪山(後方)をご神体とする(桜井市で)

 ◇両陛下と神社

 ◇「神宮を頼みます」 お言葉宮司の胸熱く

 ◇平成28年 橿原神宮ご参拝

 「天皇としての旅を終えようとしている」「支え続けてくれた多くの国民に衷心より感謝する」――。85歳の誕生日を前にした昨年12月の記者会見で、天皇陛下は時折、声を震わせながら語られた。その旅の地に奈良もあった。

 2016年(平成28年)4月4日、奈良盆地が望める桜井市の県立なら食と農の魅力創造国際大学校レストラン。「三輪山はどの辺りですか」。県内を訪れていた天皇、皇后両陛下が昼食会の席で突然、お尋ねになった。荒井知事ら県幹部らも一斉に耳を傾けた。警備上、閉めていたカーテンが開けられ、北東の山に目が向けられた。松井正剛・桜井市長は、周辺の大神おおみわ神社や纒向まきむく遺跡、箸墓はしはか古墳などヤマト王権発祥にまつわる場所を示しながら説明した。

 皇室の守り神の大神神社は日本最古の神社とされる。本殿がなく三輪山がご神体。大流行していた疫病を治めようと、第10代崇神すじん天皇の頃にあつく祭られるようになったと伝わる。

 両陛下はその約1年半前に大神神社を参拝された。案内した鈴木寛治宮司(74)は「東日本大震災からの復興が進まないことや、暗いニュースが多かったので、崇神天皇の時代に疫病を治めた神に祈りたかったのではないでしょうか」と推し量った。

 参拝の際、両陛下は纒向遺跡などの出土遺物をご覧になり、桜井市教育委員会の橋本輝彦文化財課長(49)が解説した。皇后さまは、木製の仮面や桃の種、土器などに興味津々で「これは何に使ったのですか」などと、熱心に質問されたという。橋本課長は「皇室のルーツがある奈良への思い入れの大きさが伝わった」と話した。

 皇后さまは14年10月、80歳を祝う傘寿の際、お気持ちを文書で発表された。

 「あこがれていた飛鳥、奈良の文化の跡を訪ねることが出来、背後のお山そのものが御神体である大神神社の深い静けさや、御神社に所縁ゆかりのある花鎮はなしずめの祭りに心引かれたりいたしました」

 奈良市の春日大社と橿原市の橿原神宮は天皇陛下の使いが毎年、派遣される勅祭社で皇室と深い関係を築いてきた。

 天皇、皇后両陛下は春日大社に平成の30年間で2度訪問された。花山院弘匡かさんのいんひろただ宮司(56)は藤原氏の末裔まつえいで皇室とも関係が深く、天皇陛下とお会いする機会も多い。陛下は奈良市の平城宮跡が保存、復元されていることに「奈良は何といっても祖先の大切な土地。開発せずに、皆さんが平城京を守ってくれて、こんなにありがたいことはない」と、平城京のモデルとなった中国・長安(現在の西安)と比べて、保存状態が良いことに、県民への感謝の気持ちを表された言葉をよく覚えているという。

 参拝時に神楽を舞った巫女みこへの気遣いや、出迎えた市民に温かい言葉をおかけになる姿に、花山院宮司は「国民に寄り添われ、共に歩むことを実践なされ、象徴として背負われているものの大きさを感じました」と回想する。

 初代天皇とされる神武天皇の没後2600年の式年祭があった16年4月3日、橿原神宮(橿原市)に参拝された。退位の意向を示された「お言葉」が放送される約4か月前。松井・桜井市長に三輪山の場所をお尋ねになった日の前日でもあった。久保田昌孝宮司(67)は「すでに退位のことを考えていらっしゃったのか推し量ることはできないが、常に周りへの気配りを忘れない姿から、国民と歩んでこられた年月の重みを感じた」と振り返る。

 橿原神宮は祭神の神武天皇が即位した橿原宮とされる場所にある。「神宮のことをよろしく頼みます」。帰り際に天皇陛下に言われ、久保田宮司は「『この地を守ってくれて、ありがとう。これからも頑張ってくれ』ということなのかな」と思えて、うれしくなった。

 5月1日に皇太子さまが即位され、正式に新元号となる。久保田宮司は「昭和から平成に変わった時と同じように、元号が変わっても、これまで築いてきた皇室との関係は続く。新天皇の新しい時代になっても、発祥の地・奈良から皇室の繁栄を祈り続ける」。そう力を込めた。

(辰巳隆博)

 ◇<MEMO>三輪山の信仰

 三輪山の信仰は古事記や日本書紀の記述では、天孫降臨以前、大神神社の祭神・大物主神おおものぬしのかみ大国主神おおくにぬしのかみの前に現れ、国造りを成就させるために自らを三輪山に祭ることを望んだとある。これが最古の神社とされる根拠だ。

 考古学上は三輪山麓にある最古の祭祀さいし遺跡は早くとも4世紀後半以降のものとされる。初期ヤマト王権発祥の地・纒向遺跡では3世紀代に三輪山を信仰していた可能性を指摘する専門家もおり、神道の原型とされている。

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60850 0 平成なら物語 次代につなぐ 2019/01/01 05:00:00 2019/01/01 05:00:00 橿原神宮での参拝を終えられ、迎える人たちに笑顔をみせられる天皇、皇后両陛下(3日午後3時40分、奈良県橿原市で)2016年4月3日撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20190102-OYTAI50061-T.jpg?type=thumbnail

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