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<奈良>古民家を守る 1 歴史価値高め つなぐ

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登録文化財に住む

昭和初期の雰囲気そのままの吉岡家住宅でくつろぐ吉岡さん夫妻。主屋を客間として使っている(奈良市で)
昭和初期の雰囲気そのままの吉岡家住宅でくつろぐ吉岡さん夫妻。主屋を客間として使っている(奈良市で)
吉岡家住宅。近くにも趣のある町家が並ぶ
吉岡家住宅。近くにも趣のある町家が並ぶ
中井家住宅の玄関土間に飾っている高札。懐中電灯で横から照らすと、「奉行」(左下)などの文字が浮き出る(御所市で)
中井家住宅の玄関土間に飾っている高札。懐中電灯で横から照らすと、「奉行」(左下)などの文字が浮き出る(御所市で)
登録有形文化財を示すプレート
登録有形文化財を示すプレート

 古民家を守れば、郷土の風景や伝統が保たれ、地域の誇りにもつながる。そんな古民家の自宅を、国の登録有形文化財にするケースが目立ってきた。住み続ける人たちの思いとは。(中井将一郎)

「町家を救え」

 町家が軒を連ねる奈良市の 京終きょうばて に、1935年から立つ吉岡家住宅も登録有形文化財の一つ。吉岡卓也さん(56)、幸子さん(51)夫妻が、さいたま市から移住し、2010年に購入した。原形をほぼ保ちながら住み継ぎ、16年に登録された。

 東京の製薬会社に勤めていた卓也さんは橿原市出身。大阪転勤が持ち上がった10年3月、ネットで「町家を救え」と訴える投稿を見つけ、気になった。奈良の興行師で著名な谷井友三郎氏ゆかりの町家が、解体の危機に直面している内容だった。

 さっそく見に行くと、長らく空き家で家財は散乱していたが、土間やかまどが残り、部屋は昭和初期のガラス障子が多用されて明るく、柱や床下もほとんど傷んでいない。幸子さんも、杉の板を透かし彫りした欄間が「きれい」と気に入った。

 その夏には、さいたま市のマンションを売り、購入した町家を1年かけて修理し、12年春に入居した。まちづくり団体から話を聞いて登録有形文化財にも興味が湧き、奈良市教育委員会に連絡したところ、建築当初の姿をとどめていることが評価された。

 落ち葉だらけだった中庭は、卓也さんが育てたコケで覆われ、風情を醸している。家を見てもらいたいと、幸子さんは趣味の洋菓子を焼き、月1回程度、カフェを開く。「町家を受け継ぎ、町並みが残せている。何より、人との出会いが広がって面白い」。夫妻は声をそろえる。

裾野の広い文化財

 登録有形文化財は、1996年に始まった比較的新しい制度だ。築50年以上で歴史的な価値を残していれば対象となり、所有者が申請して登録される。

 修理でも許可が必要な重要文化財など指定文化財より規制がゆるく、内部の改装は自由で活用がしやすい。修理費など財政的な支援はあまりないが、文化財という価値が加わり知名度が上がるメリットがある。

 制度を設けた背景には、貴重な近代建築が顧みられず、壊されてきたことがある。ほかの先進国に比べ、保護されている建造物が少ない事情もあったという。文化庁は「幅広く保護の網をかけ、文化財をカバーすることができる」とする。

町並み保存

 御所市の旧市街「御所まち」に立つ記者の実家・中井家住宅も、2007年に登録文化財となった。先祖が1792年(寛政4年)に建てた町家で、一帯にも江戸~昭和初期の町家や蔵が数百棟残っている。当時、初めての町並み調査を奈良女子大学が行ったばかりで、町並み保存に道をつけようと、家族やまちづくりNPOと話し合って登録を申請した。

 登録されたことで、週末には町並み散策の見学者が訪れる。父の中井陽一(82)は、江戸時代のお触れを記した木の掲示板「 高札こうさつ 」など家蔵の史料を見せながら、御所まちの歴史を説明する。「御所の町がどれだけ貴重かを知ってもらい、町がいつまでも続いてほしい」と強調している。

     ◇

 ニュースをわかりやすく伝える「New門@奈良」は、古民家再生をテーマにした先月に続き、9月も古民家を守ることに焦点を当てます。

町家や鉄橋など316件

県内の登録有形文化財

 全国の登録有形文化財は、制度ができてから25年で1万3082件(棟)に達した。一方、規制が少ないため、相続や開発などに伴い、これまで240件が解体された。

 種類が多様で東京タワー、鉄筋コンクリート造の大阪城天守閣、灯台、えん堤などもある。まちづくりに活用される例も多く、茨城県桜川市真壁地区では約100棟も登録されている。

 県内では、南都銀行本店(奈良市)が登録第1号で、現在は316件。全国的な傾向と同様、町家や農家など住宅として建てられた建物が大半だが、 赤膚あかはだ 焼の登り窯(奈良市)、赤い鉄橋「開運橋」(三郷町)など特徴的なものもある。

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2376772 0 New門@奈良 2021/09/18 05:00:00 2021/09/18 05:00:00 2021/09/18 05:00:00 昭和初期の雰囲気そのままの吉岡家住宅でくつろぐ吉岡さん夫妻。主屋を客間として使っている(奈良市で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/09/20210918-OYTAI50007-T.jpg?type=thumbnail

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