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<3>茶の味わい増す 薄削り

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高山茶筌

竹茗堂左文(生駒市高山町)

久保さんらが作った様々な茶筌
久保さんらが作った様々な茶筌
竹を削る久保さん(右)と左元さん(生駒市高山町で)
竹を削る久保さん(右)と左元さん(生駒市高山町で)

 シュッシュッ、シュッシュ――。リズミカルな音を立てて竹の皮が薄く削られていく。生駒市高山町の茶道具製造卸「竹茗堂左文ちくめいどうさぶん」の一室で、24代目堂主の久保昌城まさきさん(76)、25代目の左元さゆきさん(47)父子が、茶筌ちゃせん作りを進めていた。

 「最も大事なのは、味削あじけずりという作業。穂先部分を湯で煮て、先に行くほど薄くなるよう削っていきます。これがお茶の味わいに関わってくる」。そう久保さんは説明する。最も薄い部分で実に100分の3ミリ。「失敗したら穂がなくなってしまう」と笑う。

 茶筌が生まれたのは室町時代。高山城主の次男・高山宗砌そうせつが、親交のあった侘茶わびちゃの祖・村田珠光に抹茶を混ぜる道具の製作を依頼されて考案した。その後、宗砌の子孫が、地元の家臣に伝えたとされる。以来、約500年、製作が続いているという。

 材料となる近畿産の淡竹はちく約1万3000本を煮沸して磨き、冬場の約1か月、太陽の紫外線と寒風にさらすところから始める。

 直径2~2・5センチ、長さ12センチの原竹の表面にある薄皮をむき、16本に割る。さらに内側を削って160本に割り、外側の太い穂、内側の細い穂を作る。次が「味削」で、ちょうどよい薄さに削れたら、内側に丸く反るよう、へらでしごいて形を整える。穂の根元を糸で編み、根元を補強する。

 ここまで八つの工程を50~60人の職人が分業して作っている。最後に久保さんが、内外の穂の高さや間隔、全体の形などを点検して仕上げる。

 茶道に欠かせない茶筌がよく売れたのは1970年頃だったという。「茶道が花嫁修業の一つとされ、若い女性がこぞって習ったから。今ではそんなこともなくなりましたね」。需要が減少傾向になるなか、近年は韓国や中国産も出回っている。

 打開策として久保さんが注目したのが海外。2014年にパリ、翌年は米・ニューヨークのイベントに出展した。現地は抹茶ブームで、「手応えを感じた」。コーヒーやココアを混ぜるのに使える細長い茶筌を開発。アウトドアで使える茶道具セットも販売する。「いろんな種をまいているところ」と説明する。

 「茶道は日本を代表する文化だが、このままでは茶筌は生き残れない。伝統を大事にしながら進化していかないと」と久保さん。その目は将来を見据えている。

 <メモ> 茶筌約120種類を製作。一般的な価格帯は2500~4500円。煤(すす)竹を使用した高級品は2万円前後(いずれも税込み)。インターネット(http://www.chikumeido.com)で販売。問い合わせは竹茗堂左文(0743・78・0034)。

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2025382 1 ならの手仕事 2021/05/02 05:00:00 2021/05/03 11:21:31 2021/05/03 11:21:31 久保さんらが作った様々な茶筌 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/05/20210501-OYTAI50018-T.jpg?type=thumbnail

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