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<4>ぬくもりともす 六角形

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木製灯籠

小南吉彦さん(奈良市紀寺町)

明かりを入れると、より温かく感じられる木製灯籠
明かりを入れると、より温かく感じられる木製灯籠
「最後まで仕上げたときは、今でもホッとする」と語る小南さん(奈良市紀寺町で)
「最後まで仕上げたときは、今でもホッとする」と語る小南さん(奈良市紀寺町で)

 軒先で揺れる白木の釣灯籠つりどうろう。明かりをともすと、柔らかな光が、ぬくもりを感じさせる。

 寺社を清浄な明かりで照らす灯籠は、石灯籠が知られているが、春日大社(奈良市)には、室町時代の木製釣灯籠も伝わる。天板や底板は、六角形が基本の形という。

 春日釣灯籠を模した木製灯籠を作っているのは、奈良市紀寺町の指物師、小南こみなみ吉彦さん(83)。軒先につるすほか、床の間などに置いて和の雰囲気を醸すインテリアにもなる。

 「建具屋の4代目。物心ついた頃から建具屋を継ぐもんやと思うとったね」。中学卒業後、定時制高校に通いながら、父の下で腕を磨いた。木製灯籠作りは、建具業の閑散期の仕事だった。父から格別に教わった覚えもないが、20歳代前半には、全ての工程を一人でこなせるようになったという。今では1か月に10個は作れるという。

 原寸大の灯籠は、対角長が1尺9寸5分(約60センチ)。そこからコンパスを使って、10分の7、10分の5、10分の3と、様々な縮尺のものを作る。

 使うのは国産の杉材。材木店から丸太で買って製材してもらい、自宅兼工房の裏庭で最低2年、乾燥させる。その後、大小約80個のかんなやのこぎり、のみといった道具が所狭しと並ぶ工房で作業していく。

 「一番手間がかかるのは天板の裏側。のみだけで削り、柔らかい曲線を作らんといかん」。天板の表は、「出丸」と呼ぶ特殊なかんなで滑らかに仕上げる。天板と底板を6本の細い「柱」でつなぎ、柱の間に「障子」をはめ込んで完成。昭和40年代半ばが製作のピークで、年に50~60個を作ったという。

 「形が六角形と決まっているので、たくさん作っているうちに飽きてきた。それで、ほかの形も作ってみるようになった」。八角形の天板、斜め格子にした障子、細長くした柱……。材料も、松食い虫で枯死した庭の松を使ってみた。「色合いが杉と違って、面白いものになった」。作り始めてから半世紀以上。今も新たな作品作りに挑む。

 工房では十数年前から、一般向けの木工教室を開き、外国人が訪れることもある。「関心がある人には、灯籠作りも教えているんです」。教室に来る人が、木製灯籠作りを伝えていってくれたら――。そんな希望を持っている。

 <メモ> 木製灯籠は、大が8万円、中が6万9000円、小が6万円(いずれも税込み)。八角形のものや障子の細工が異なるものもある。予約すれば、作業を見学できる。木工教室も受け付けている。日曜休み。問い合わせは小南商店(0742・22・5483)。

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2027152 0 ならの手仕事 2021/05/03 05:00:00 2021/05/03 11:25:03 2021/05/03 11:25:03 明かりを入れると、より温かく感じられる木製灯籠 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/05/20210502-OYTAI50021-T.jpg?type=thumbnail

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