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<9>造形と彩色 表情豊かに

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奈良一刀彫

太田 佳奈子さん (奈良市川上町)

 直線と面が作るきっぱりとした造形と、岩絵の具や 金箔きんぱく に彩られた あで やかさ。奈良一刀彫には、二つの魅力が凝縮されている。

直線的な造形と華やかな彩色の「立雛」
直線的な造形と華やかな彩色の「立雛」
「手のひらに収まるものに、一つずつ物語を込めたい」と語る太田さん(奈良市で)
「手のひらに収まるものに、一つずつ物語を込めたい」と語る太田さん(奈良市で)

 奈良市川上町の奈良一刀彫作家、太田佳奈子さん(48)は、春日大社(奈良市)が任じる春日 有職ゆうそく 奈良人形師、太田佳男さん(84)の一人娘として生まれた。後を継ぐつもりはなく、同志社大文学部を卒業後、会社員をしていたが、29歳のとき、「尊敬する父の仕事を継がないともったいない」と思い直した。会社を退職、父に教えを乞い、彩色の基本となる日本画を学んだ。

 佳男さんは「本当は高校卒業後に始めても遅いぐらい。教えると言ったって、見ればわかる」と素っ気ないが、自宅の同じ仕事場で一緒にのみを振るう。

 奈良一刀彫は「奈良人形」とも呼ばれ、平安時代、春日大社の摂社・若宮神社の「春日若宮おん祭」で行われる田楽の 花笠はながさ や神前に飾る 盃台さかずきだい の人形が起源とされる。

 「神さまにささげるものにあまり人の手を加えてはならないということで、最小限ののみ入れで表現されました」と太田さん。一刀彫といいつつ、太田さんは約10本ののみや彫刻刀を使うが、「一刀で彫り上げたかのようなダイナミックな彫り、というところから名前がついたと言われています」。モチーフは能や狂言、鹿、ひな人形などが多いという。

 材料にはヒノキやカツラ、クスノキを使う。ひな人形の「 立雛たちびな 」なら、型紙を使って粗削りをした後、細部を仕上げる。顔の部分は表情を出すため、やすりをかける。その後、カキ殻を粉にした白い 胡粉ごふん をニカワで溶いて下地に塗り、岩絵の具や金箔で彩色する。

 一番神経を使うのは、顔という。「単純に見えて奥が深い。見るとほっこりとして、思わずほほえんでしまうようなものにしたい。赤ちゃんの顔が一番近いかな」。佳男さんも「人形は9割方、顔やから。作る人のすべてが出ます」と言い切る。

 孫の写真を持ってきて、「これに似た顔にしてほしい」という人、「ひな人形の後ろに飾る 屏風びょうぶ も一緒に作って、ぼんぼりを描いてほしい」という人――。様々な注文に応じる。「それが手作りのよさ。お客さんとの交流は創作のヒントになり、励みにもなる」という。

 奈良一刀彫の作家に女性はまだ少ない。「一刀彫は男性的な力強さが特徴だが、女性ならではのものを作りたい。小さくて大切な『私だけの宝物』みたいな作品を作れれば」。そう言って柔和な表情を引き締めた。(関口和哉)

 < メモ > 奈良商工会議所女性会の自主運営サイト「大和まほろば夢空市」に作品が紹介されている。受注生産だが、注文が詰まっており、納期は来年3月以降になる。問い合わせは太田佳奈子さんにメール(marco64@m3.kcn.ne.jp)で。

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2230626 0 ならの手仕事 2021/07/24 05:00:00 2021/07/24 05:00:00 2021/07/24 05:00:00 直線的な造形と華やかな彩色の「立雛」 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/07/20210724-OYTAI50000-T.jpg?type=thumbnail

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