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くろたき水組木工品 山口勝さん(黒滝村中戸)

くろたき水組木工品の火鉢。木目が美しい
くろたき水組木工品の火鉢。木目が美しい
「商売抜きで、新しいことに挑戦したい」と語る山口さん(黒滝村で)
「商売抜きで、新しいことに挑戦したい」と語る山口さん(黒滝村で)

 「刃物はね、よう切れないといけませんな。ノミでも、自分に合うよう手作りすることもある」。黒滝村中戸の工房で開かれた木工教室で、指物師の山口勝さん(76)が、集まった20~60歳代の木工職人ら5人に語りかけた。

 山口さんは、「くろたき水組木工品」の伝統を唯一受け継ぐ。「頼まれたら作ってきたが、『消えゆく伝統工芸品』や言われて、もうなくなってしまうものと思っていた」。だが、村と県の協力で、2020年9月から月2回、木工教室を開くようになり、後継者を育成している。

 くろたき水組木工品は、江戸時代に作られた大峯山のさい銭箱が源流という。黒滝村はケヤキや杉、ヒノキ材の豊かな産地で、指物師や大工らによって、火鉢やタンス、箱など様々な生活用品が作られてきた。

 「水組」は、木を組み合わせる凹凸部分に特徴があり、3本ある突起は真ん中はまっすぐで、両側が「ハ」の字に開いている。組み上げると漢字の「水」の形に見えることが、その名の由来でもある。高度な技術で、組んでしまったら簡単には抜けず、通常の木組みより丈夫という。

 「四つの角を少しずつ一度にはめていく。一つだけ組んで、残りは後からというわけにはいけませんねん」。ここが難しいところだと山口さんは説明する。うまくいかないと、隙間ができたり、割れたりしてしまう。「職人の腕の見せどころ。プライドをかけてというか、他の職人に『おい、おまえ、こんなんできるか』って自慢できる」と笑う。

 使うのはケヤキ。「堅くて加工は大変やけど、漆を塗ると木目がきれいに出るから」。鉛筆で線を描いた後、ノコギリで切れ目を入れ、ノミで仕上げる。書いた線の内側と外側のほんのわずかの差を生かして、凹凸がぴったりとはまるように調整する。

 こうした技術は中学卒業後に家業を継ぎ、父から教わった。以来、60年余り。「おやっさんの技術はすごかった。まだまだ追いつきません。どうやって作ったのかわからんもんもある」。工房には父の作品が残っており、毎日のように見ては参考にしている。

 昨年12月から、3か月かけて五角形の箱を初めて作った。なかなか難しかったが、木工教室で若い子たちが頑張っているのを見てるうち、やる気になったという。「ほかにはない難しい技術で作られているのが魅力。それを現代のニーズに合った作品にできたら」。新しい道が見えつつある。(関口和哉)

〈メモ〉  受注生産で、注文から納入まで3か月かかる。大きさや材料の質によるが、さい銭箱、五角形の箱とも10万円(税込み)から。山口さんは彫刻が得意で、仏像なども作っている。問い合わせは山口木工家具建具店(0747・62・2010)。

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