読売新聞オンライン

メニュー

ニュース

動画

写真

スポーツ

コラム・連載・解説

発言小町

漫画

教育・受験・就活

調査研究

紙面ビューアー

その他

サービス

読売新聞のメディア

購読のお申し込み

読売新聞オンラインについて

公式SNSアカウント

<下>教訓継承 生徒に期待

スクラップは会員限定です

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

十津川高の「ふるさと学」

被災者の依頼にどう対応するかを話し合う生徒たち(十津川村で)
被災者の依頼にどう対応するかを話し合う生徒たち(十津川村で)
道具の使い方を確認する生徒たち(十津川村で)
道具の使い方を確認する生徒たち(十津川村で)

 「家が倒壊するかもしれないからヘルメットが必要」「割れたガラスは危ないから袋に入れて回収しよう」

 今年6月、十津川高(十津川村)で生徒たちが熱心に話し合っていた。2019年度に新設した「ふるさと共生コース」の目玉授業「ふるさと学」。この日は、県社会福祉協議会総合ボランティアセンター(橿原市)の職員らを招き、2年生12人が水害後の被災地を想定しながら学んだ。

 被災者からボランティアセンターに、「浸水した家具を運び出したい」「割れたガラスを撤去したい」など次々に依頼が舞い込んでくる。それを解決するための優先順位を決め、必要な人数や道具などをグループに分かれ、対策を立てた。

 2年深瀬亮太さん(17)は、小学1年の時に紀伊水害を経験。自宅の1階部分が浸水し、いつ2階まで水が来るか分からない恐怖を感じた。水害後は避難や非常時の準備について家族とよく話すようになり、体験があるから高校で防災を教わっても実感がもてる。「被災経験があるので、同じように困っている人がいたら助けられるようになりたい」と力を込める。

 ふるさと共生コースは、災害に向き合い自ら動ける生徒を育てることを目的に設けられた。11年9月の紀伊水害で12人が死亡・行方不明となった十津川村にある高校だからこその思いが込められている。

 ふるさと学の授業は毎週2時限あり、自衛隊による応急手当ての講義や炊き出し訓練など災害時に実践できる知識を専門家を招き、ワークショップ形式で学んでいる。コースを担当する出口輝樹教諭(28)は「高校生が主体になり発信する防災が村全体に広がれば」と期待する。

          ◎

 地震や水害などの被災地では、被災者の高齢化や転出などにともない災害の記憶が継承されないことが課題になっている。十津川村でも、高齢化や村外への転出が進み、水害を経験した住民は年々減少している。十津川高でも半数は、村外や県外から入学した生徒だ。

 「人と防災未来センター」(神戸市)で防災教育を研究する河田慈人主任研究員によると、災害を直接経験していない「未災者」が災害の教訓を伝えていくことが重要だという。しかし経験していないことを語ることに抵抗を感じる若者も多く、災害を語り継ぐことは難しい。河田主任研究員は「語るためには、主体的に経験した人に話を聞いたり、当時の資料を見たりして学ぶことが必要だ」と指摘する。

 大きな地震を経験した兵庫県や宮城県、熊本県には、防災を専門的に学べる高校がある。このほかにも救命講習を受講し、被災経験を語り継ぐ活動に積極的に参加するなど、防災に力を入れた教育を進める学校も各地で出てきている。

 十津川高は紀伊水害の被災地にある学校として、水害の記憶を伝え、防災活動の中心を担っていくことが期待されている。(この連載は山口佐和子、中井将一郎が担当しました)

無断転載・複製を禁じます
スクラップは会員限定です

使い方
2336002 0 防災のいま 紀伊水害10年 2021/09/03 05:00:00 2021/09/03 05:00:00 2021/09/03 05:00:00 被災者の依頼にどう対応するかを話し合う生徒たち(十津川村で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/09/20210902-OYTAI50019-T.jpg?type=thumbnail

ピックアップ

読売新聞購読申し込み

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)