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森林保全

森林管理について授業が行われる県フォレスターアカデミー(吉野町で)
森林管理について授業が行われる県フォレスターアカデミー(吉野町で)

 「実際に獣道を見つけ、どのようにわなをカムフラージュするかを学んでほしい」

 10月下旬、県立吉野高校(吉野町)の一角。講師を務める「自然環境研究センター」(東京都)の黒崎敏文・研究主幹(61)が、映像を見ながらわなの設置方法などを説明すると、10~70歳代の生徒約20人は、県の実習林に繰り出した。県が4月に開校したフォレスターアカデミー(吉野町)の授業の一コマだ。

 スイスの森林管理官(フォレスター)をモデルに、学生の一部はフォレスター(森林管理職)として採用され、県職員として給与をもらいながら林業を学ぶ。卒業後は、市町村で森林整備計画の策定などを担う。こうした試みは全国初という。

 フォレスターの森本祐太郎さん(35)は「将来は、崩壊がないような健全な山をつくりたい」と意気込む。

 県が人材育成を進めるのは、県土の約8割を森林が占めるにもかかわらず、管理の担い手が不足しているからだ。国勢調査によると2015年度の県内の林業就労者は959人と、1965年度(7020人)の約7分の1に減少。新規就労者も近年は年20人前後にとどまる。

 豪雨などが相次ぐ中、山崩れや洪水を防ぐ森林の機能が見直されているが、戦後、大量に植えられたスギやヒノキの人工林は、人手不足で整備されず荒廃が進む一方だ。県は、2025年度までの5年間で計285人(年平均57人)の新規就労者を確保し対策を急ぐ。

 県はアカデミー設立について「多数の土砂崩落が発生した11年9月の紀伊水害を教訓に、現場での技術と幅広い知識を兼ね備えた人材育成が急務だった」と説明する。

          ◇

 ただ、県の自助努力にも限界がある。森林保全には、国産材の市場拡大で、林業の従事者を増やし、次の造林につなげるという好循環が欠かせない。国産材の流通促進も大きな課題だ。

 日本は国土の3分の2を森林で覆われているにもかかわらず、木材が有効活用されているとは言いがたい。製材や燃料などに使う木材のうち国産材の割合を示す木材自給率は20年に41・8%だった。国の取り組みもあり、10年連続で上昇したが、1960年の89・2%には遠く及ばない。低価格の海外産への依存から脱却できないことが要因だ。

 今年に入り潮目は変わり始めている。吉野中央森林組合(東吉野村)の坂本良平専務(67)は「コロナ禍で海外産材が入らなくなっており、自給率を高める好機だ」と力を込める。

 新型コロナの影響で、世界的な住宅需要の持ち直しやコンテナ物流の混乱などで木材の不足感が高まり、価格が急騰。国内では住宅価格の上昇や工期の遅れなどの影響が出る「ウッドショック」が起きる一方で、国産材は代替品として注目を集める。

 組合では、植林が少ないため間伐を中心に手がけており、年間を通して仕事を確保できず雇用も厳しい状況が続く。坂本専務は国の後押しを期待する。「再び海外産の輸入が盛んになると、いよいよ日本の林業は危ない。この機を逃さず、国産材利用をてこ入れしてほしい」(土谷武嗣)

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2478555 0 奈良の課題 衆院選21 2021/10/29 05:00:00 2021/10/29 05:00:00 2021/10/29 05:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/10/20211028-OYTAI50010-T.jpg?type=thumbnail

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