独特の衣紋 華麗な彩絵

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釈迦如来立像(国宝・平安時代) 室生寺(宇陀市)

 宇陀の静かな山里からさらに奥、緑生い茂る深山幽谷の地に寺はある。太古の火山活動が形成した山並みから渓流が注ぐ室生川のほとり。朱色の太鼓橋を渡ると、表門と「女人高野」の石柱が姿を現す。

 8世紀後半、勅命により興福寺の僧賢(けん)けい(王へんに景)が創建。女人禁制であった高野山に対して、女性の参詣を受け入れたことから、江戸時代には「女人高野室生寺」として知られていたという。

 シャクナゲの花や紅葉が参拝者を迎える 鎧坂よろいざか を上がると、木々に囲まれた金堂(国宝)に像は安置されている。

 造像は平安初期、カヤの一木造りで高さ約235センチ。肩から足もとへ流れ落ちる大小の波のような独特の衣紋や、顔や胸部にあらわとなった下地の漆の黒が目を引く。十二神将を従えることや光背の七仏などから、古くは 薬壺やっこ を持たない薬師如来として信仰されていたという。

 仏の体から放たれる光明を象徴する 光背こうはい は、ヒノキの板を2枚つないだ舟形の「板光背」。絵の具や墨などで仏や花の文様を描いたもので、平安時代の県内で多く作られた。ぐるりと配された七仏のあいだを唐草文が埋める華麗な彩絵はかつて極彩色だったらしい。

 金堂をはじめ木々の中にひっそりと点在する堂塔、季節ごとに境内を彩る花。その様子は、分け隔てなく人々を受け入れてきた女人高野の名にふさわしく優しい。写真・文 浜井孝幸

  〈メモ〉 宇陀市室生。近鉄室生口大野駅からバスで約15分。午前8時半~午後5時。入山料は中学生以上600円、小学生400円。問い合わせは室生寺(0745・93・2003)。

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3223167 0 やまと仏巡り 2022/08/03 05:00:00 2022/08/03 05:00:00 2022/08/03 05:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2022/08/20220802-OYTAI50018-T.jpg?type=thumbnail

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