太子信仰「根幹に利他の心」
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1400年御遠忌記念シンポ

聖徳太子の1400年
斑鳩に360人 法隆寺住職講演など
太子が創建したと伝わる法隆寺の古谷正覚住職(72)が「聖徳太子のこころと信仰」と題して基調講演。当時、政治や皇位継承などで争いが絶えず「太子は平和な世の中をつくりたいと考え、実現のために仏教を広めたいと思われた」と説明した。守るべき重要な戒律「十善戒」を太子が示したことには、「人々が平和に暮らすことができる理想社会の実現を願い、仏の教えを実践する生涯を送られた」とした。
太子信仰は今も続いており、「太子の考え方には『利他』の心がある。多くの人を救ってくれると信じられていることが、信仰の根幹になっているのではないだろうか」と述べた。
「聖徳太子信仰と伝承」をテーマにしたパネルディスカッションでは、武田佐知子・大阪大名誉教授が、旧1万円札にも使われた太子の肖像画「
森博達・京都産業大名誉教授は、太子のおばだった推古天皇の時代、天体観測が行われ、太子と蘇我馬子が史書の「天皇記」「国記」などを編さんしたと紹介し、「天体観測や史書編さんは文明国家の証しで、画期的な時代だった。太子は馬子と協力して天皇を補佐し、隋や高句麗に劣らない国家の建設を目指した」と評価した。
神奈川県立金沢文庫の瀬谷貴之・主任学芸員は、鎌倉時代に西大寺(奈良市)を再興し、真言律宗を興した
また、東京国立博物館が所蔵する国宝「聖徳太子絵伝」(平安時代)を、仮想現実(VR)の技術を活用して、元々安置されていた法隆寺絵殿に再現した映像も披露された。
法隆寺周辺でボランティアガイドを務めているという奈良市の栗林伸善さん(78)は「太子への信仰がどのように日本中に広がり、今の日本人の心の中につながっているのかがよくわかった」と話していた。