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<春日山原始林>植生種 保護柵で2.5倍に

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県調査 シカ食害防止奏功

春日山原始林の植生保護柵の様子。手前はシカに食べられているが、保護柵の中は、下草が茂っている(2019年11月、奈良市で)
春日山原始林の植生保護柵の様子。手前はシカに食べられているが、保護柵の中は、下草が茂っている(2019年11月、奈良市で)
春日山原始林で姿を見せたシカ
春日山原始林で姿を見せたシカ

 県は、奈良市の世界遺産「春日山原始林」(約300ヘクタール)で、シカに食べられないように設置した植生保護柵32か所(計約2・5ヘクタール)についての調査結果を公表した。設置完了から5年が経過し、当初と比べ、柵内では植生の種類が平均して約20種から約50種と大幅に増加したほか、絶滅危惧種などの貴重な植物も見られた。(迫直往)

 春日山原始林は春日大社の神域として位置づけられ、平安時代には狩猟と伐採が禁止されるなど古くから保護されてきた。大部分はシイやカシといった照葉樹林が広がり、1998年には「古都奈良の文化財」の一部として世界遺産に登録された。

 しかし、近年はナラ枯れの被害に加えてシカによる食害も深刻化。シカが好まない常緑針葉樹のナギや落葉広葉樹のナンキンハゼが増えたり、下草がなくなったりして、景観や生態系の変化が問題になっていた。

 そこで県は対策として2013~16年、木が倒木するなどして日が当たるようになり、樹木が育ちやすくなった場所に、シカの侵入を防ぐ植生保護柵(約170~2000平方メートル)を36か所設置。柵内外の植物の変化を観察してきた。

 調査結果によると、柵内では平均して植生の種類が5年間で約2・5倍に増え、草本植物の割合がもっとも高くなった。柵の周囲でも種類が増えたが、シカが好まないシダ類の割合が高かった。

 貴重な植物も柵内で確認されている。絶滅危惧種のウドカズラは設置当初は1か所の柵でしか現れなかったが、5年目には17か所で確認できた。希少種のヤマイバラが発生した柵も、設置当初の8か所から13か所に増加していた。

 一方、過去に倒木などで柵が破損している場所では、そうでない場所と比べて、植樹した苗などの生存率が下がる結果も出た。破損した場合はシカといった野生動物が侵入して食害が発生していると考えられている。今後は破損した柵を一部撤去し、別の場所で強度が高く、より大きな柵に変更する予定だ。柵の近くには県民に取り組みを知ってもらうため、解説も設置するという。

 県奈良公園室の竹田博康室長は「元の状態にするには外来種対策やシカとの共生を考えないといけない。継続して丁寧に保全していきたい」と話している。

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1887070 0 ニュース 2021/03/05 05:00:00 2021/03/05 05:00:00 2021/03/05 05:00:00 手前は鹿に食べられているが、保護柵の中は、下草が茂っている(11月8日、奈良市で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/03/20210304-OYTNI50028-T.jpg?type=thumbnail

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