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被災者特定 法歯学の力

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県立医大博士研究員 川島さん

 歯の治療痕などから遺体の身元を特定する「法歯学」。DNAや指紋の鑑定と並ぶ有効な手法となっており、2011年の東日本大震災でも多くの身元確認につながった。県立医大法医学教室で研究に当たる博士研究員の川島渉さん(40)は、被災地で多くの遺体に向き合った経験を生かし県警の鑑定嘱託歯科医として活動しており、「災害時に貢献できる歯科医を増やしたい」と後進育成に意欲を燃やしている。(山口佐和子)

石巻などで活動 「経験生かし 後進育成」

震災の経験を通し法歯学の重要性を訴える川島さん(大阪市で)
震災の経験を通し法歯学の重要性を訴える川島さん(大阪市で)
遺体の身元特定作業が行われた倉庫(2011年4月、宮城県石巻市で)=川島さん提供
遺体の身元特定作業が行われた倉庫(2011年4月、宮城県石巻市で)=川島さん提供

 「亡くなった人を待っている人の元に返すことが『法歯学』の存在意義」。県内で、過去11年間に約50体の遺体の歯を鑑定し第一人者である川島さんは、強調する。勤務した大学などでは、精力的に学生の指導にも当たってきた。

 原動力となっているのが、被災地で約2週間鑑定に当たった経験だ。震災発生当時、研修医を経て、県立医大法医学教室の大学院生として経験を積んでおり、日本法医学会から、身元特定作業の協力要請があった。「少しでも役に立てれば」と被災地に向かった。

 発生から間もない4月。最初に派遣されたのは宮城県石巻市だった。仙台市からバスで向かう途中、車窓から飛び込んでくる光景に、衝撃を受けた。津波で流された家々、町中まで流され取り残されたままの船、そして辺りに漂う魚の腐ったような臭い――。「予想以上の悲惨さで悲しくなった」

 作業現場は、元々、青果市場として使われていた大きな倉庫。津波などの犠牲になり性別や年齢がわからない遺体が、次々と運ばれてきた。歯の治療痕や残り具合などから、年齢や性別を推定する作業は、多い日には約100体にも上った。40歳代の女性が、夫とみられる遺体の傍らで崩れ落ちる姿を目にする日もあった。

 「次第に人の死に対し、心が動かなくなった」と振り返るが、「遺族の元に返したい」という一心で作業に没頭した。

 費用や時間がかかるDNA鑑定や、生前の資料がないケースが多い指紋鑑定に比べ、歯の鑑定は、遺体を傷つけず、早期に身元を特定するのに役立ち、被災地では重宝された。それでも、身元の確定ができず、治療痕や歯がない遺体の鑑定が難しいことに無力さを痛感。身元特定作業の経験が少ない歯科医師が多いことにも、歯がゆさを感じたという。

 東日本大震災から10年を迎える今、地元の関西で、大規模な災害が起きた際の身元特定の態勢が整っていないと危機感を募らせる。

 「災害はいつどこで起きるか分からない。法歯学の重要性をさらに広め、正確な知識を持った歯科医を一人でも多く育てたい」

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1892138 0 ニュース 2021/03/07 05:00:00 2021/03/07 05:00:00 2021/03/07 05:00:00 震災の経験を通し法歯学の重要性を訴える川島さん(大阪市で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/03/20210307-OYTNI50009-T.jpg?type=thumbnail

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