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<紀伊水害10年>過疎集落 戻った歓声

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十津川・谷瀬で人口増

 10年前の紀伊水害で大きな被害を出し、人口減少が課題となっている十津川村で、人口を増やしている地区がある。村北部の山あいにある谷瀬地区――。仮設住宅の建設をきっかけに移住やUターンを受け入れ、ベビーラッシュも起きている。被災地復興のモデルケースとしても注目されそうだ。(中井将一郎)

復興住宅 移住者受け入れ

 「移住者を歓迎する雰囲気があって、よくしてもらえる」。2年前から谷瀬の空き家を借りて住む河合 伸郎のぶお さん(46)、直子さん(46)夫妻は口をそろえる。

 ともに愛知県で設計士をしていたが、伸郎さんが2016年、村の技術職員に採用され、移住して結婚。村で2人の娘が生まれた。当初は別の地区に住んでいたが、各集落を歩き、谷瀬が気に入った。棚田が点在する風景もいいが、住民の開かれた気風にひかれた。

 紀伊水害後、谷瀬に移住やUターンしたのは、河合さん一家を含めて9世帯21人に上る。17年3月末に53人だった人口は、今年3月末は71人に。4歳以下の子どもは8人を占める。村は紀伊水害で過疎化に拍車がかかり、人口は毎年100人前後減って現在は約3000人。谷瀬の人口増加は異例な現象だという。

 変化のきっかけは、水害後に仮設住宅が設置されたことだった。続いて復興住宅の整備候補地になり、地区で議論が起きた。「外の人を受け入れる準備が必要だ」。住民でつくる「常会」に移住者も入れるように規約を変え、14年に村営の復興住宅4棟が建設され、新しい住民を迎えた。元総代の坂口哲夫さん(63)は「空き家が半分で、小さな子どももいなかった。このままでは谷瀬がなくなる危機感があった」と振り返る。

 住民たちは、観光名所の「谷瀬のつり橋」を生かし、道標や地図を作り、展望台や水車も整備した。つり橋の上で結婚式を企画したのが縁で、14年秋にはIターンの夫婦が移住。17年から復興住宅には木工作家の2世帯が住む。移住者にも草刈りや水源整備、神社の当番など地域の共同作業に参加してもらう。なじんでもらうために集落の決まり事を記した冊子も作った。

 8月29日には、休憩できるあずま屋を設ける作業を行い、河合さんら13人が参加。鉄の柱に茶色いペンキを塗り、長女 葉子はこ ちゃん(4)が「チョコみたい」と楽しそうに声を上げた。

 稲穂が揺れるのどかな風景に歓声が響く。「住民の意識が変わって、集落も変わった」。坂口さんは感慨を深めた。

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