大雪除雪中5人死亡 10、11日 上越では空き家倒壊
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上越市と柏崎市には同日、県からの要請で陸上自衛隊高田駐屯地の隊員約210人が派遣され、障害者施設や高齢者施設計11か所で除雪作業を行った。
積雪深が平年の5倍以上の232センチ(11日午後3時現在)を記録した上越市高田地区では、隊員約10人が午前11時頃から障害者就労支援施設「ポプラの家」(同市大手町)の屋根に上り、スコップなどで次々と雪を下ろしていた。
同施設では、年末からの大雪のため、除雪業者の手が回らず、雪下ろしができない状況が続いていたという。男性施設長(80)は「倒壊するかもしれないと思っていたので、自衛隊が来てくれて一安心。迅速に対応してもらい助かった」とほっとした様子で話した。12日は休業するが、「安全を確保して一日でも早く業務を再開したい」と語った。
同市南本町では、家屋1棟が雪の重みで倒壊した。倒壊したのは2年ほど前から空き家になっていた家屋で、倒壊によるけが人はいなかった。11日未明に母屋が道路側の
近くに住む男性(70)は「空き家や高齢者のみの世帯が増え、雪下ろしができずに雪がどんどんたまっている。他にもつぶれそうな家がある」と心配そうに話した。
柏崎市野田の小規模多機能型居宅介護施設「うかわの
施設では8日夕方頃から屋根の雪が急激に積もり、10人ほどの職員だけでは除雪が追いつかなくなった。いずれの施設も木造平屋のため、雪の重みで倒壊する恐れがあったといい、女性施設長は「見たことのない雪の量で手のつけようがなかった」と振り返った。
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県内では10日から11日にかけ、除雪作業中の事故が相次ぎ、5人が死亡した。
10日には阿賀町鹿瀬で会社員大江利光さん(57)、新潟市秋葉区鎌倉で農業米田静夫さん(84)、三条市長野で会社員酒井貞行さん(64)が雪に埋もれて倒れているのを発見され、間もなく死亡が確認された。県警などによると、いずれも除雪作業中に雪に埋もれたとみられるという。
また、同日には上越市頸城区手島で無職上野トシさん(87)が自宅の敷地内で倒れているのを家族が発見、その後死亡が確認された。死因は出血性ショックで、上越署は上野さんが除雪機に巻き込まれたとみている。
11日には三条市南四日町、無職外川信秀さん(66)が、自宅付近の用水路内で倒れているのを近所の住民が見つけ、死亡が確認された。死因は溺死で、外川さんは自宅付近で一人で除雪作業中に誤って転落したとみられるという。
県内各地の消防によると、11日の雪による死傷者は計38人(午後4時現在)に上った。
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新潟地方気象台によると、11日朝までの72時間降雪量は上越市(高田)で178センチ(午前8時時点)、糸魚川市で163センチ(同6時時点)、新潟市秋葉区で110センチ(同8時時点)と観測史上最大を記録した。
上越市、糸魚川市、妙高市に出されていた大雪警報は午後1時38分に解除された。同気象台によると、大雪のピークは過ぎたが、12日は日中の気温が平年より高くなるとみられ、雪崩や屋根からの落雪、除雪作業中の事故などに注意するよう呼びかけている。
県内では11日も断続的に雪が降り、上越市(高田)や糸魚川市などでは同日朝までの72時間降雪量が観測史上最大となった。同日午後には県内に出されていた大雪警報が全て解除されたが、除雪作業中の事故が相次いでおり、県などが警戒を呼びかけている。