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雨中心晴れやか 「幻の記録」悩みに区切り日本女子マラソンのパイオニア 大井キヨ子さん

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4区ゴール地点に到着し、笑顔で手を振る大井さん(4日、佐渡市相川北沢町の北沢浮遊選鉱場跡で)
4区ゴール地点に到着し、笑顔で手を振る大井さん(4日、佐渡市相川北沢町の北沢浮遊選鉱場跡で)

女子マラソンで幻の記録を持つランナー、大井(旧姓小幡)キヨ子さん(64)(佐渡市)が、佐渡市の最終走者を務めた。雨の中、笑顔を絶やさずに駆け抜けた大井さんは、「きょうゴールできたことで、一つの区切りができたような感じで非常に感慨深い」と晴れやかな表情を見せた。

 広神村(現・魚沼市)生まれ。県立小出高校時代に陸上競技を始め、400、800メートルの中距離が専門だった。豪雪地帯で、冬はスキー部員としてノルディックスキーに打ち込み、タイムをみるみる縮めていった。

 高校3年の冬、突然、佐渡市の太鼓芸能集団「鼓童」の前身団体「佐渡のくに 鬼太鼓座」から連絡が入った。鬼太鼓座に「ボストンマラソンから世界を回る」という構想があり、ランナーとしてスカウトされたのだ。体の芯まで響く太鼓に魅了された経験もあり、高卒後に佐渡に渡る決断を下した。

 所属2年目の1976年に実際にボストンマラソンを完走し、78年には6位入賞。国内大会と異なり、市民が生き生きと自由に走るボストンマラソンは新鮮で、走る喜びを実感していた。

 ただ、当時、国内でマラソンと言えば、男子のスポーツ。79年に鬼太鼓座のメンバーと「別府大分毎日マラソン」にエントリーしたが、「女性だから」と一度は出場を拒否された。鬼太鼓座の代表が運営側と交渉し、何とか出場が認められた。

 女子更衣室がないなど不備もあったが、走る喜びを胸にスタートラインに立った。30キロを通過し、「いける」と確信。苦しそうな男性ランナーを横目にゴールまで駆け抜けた。記録は2時間48分52秒。3時間を切る好タイムだった。

 「国内大会初の女性マラソンランナー」と、周囲は喜んでくれた。しかし、男子と走っていたため、記録は非公認に。その後は鬼太鼓座の仕事が増え、80年以降はマラソンの主要大会に出場することはなかった。

 それから約40年、「国内初の女子マラソンランナー」と名乗っていいのかと悩み続ける中、目に留まったのが今回の聖火ランナーの募集だった。当時の思いを書いて応募したところ、ランナーの一人に選ばれた。

 「自分が女子マラソンのパイオニアとわかっていたが、はっきりしていなかった。佐渡の大自然の中を走れたことはすごく良かった」と大井さん。走り終えた顔いっぱいに、充実感が広がっていた。

(宮尾真菜)

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2102556 0 ニュース 2021/06/05 05:00:00 2021/06/05 05:00:00 2021/06/05 05:00:00 ゴールの北沢浮遊選鉱場跡に到着し、笑顔で手を振る大井さん(4日午後4時7分、佐渡市相川北沢町の北沢浮遊選鉱場跡で)=宮尾真菜撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/06/20210604-OYTNI50054-T.jpg?type=thumbnail

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