「音で育てた」みそ発売 上越の老舗異業種コラボ

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みその原材料が入ったタンクにスピーカーを設置するウエタックスの植木正春専務(上越市石橋で)
みその原材料が入ったタンクにスピーカーを設置するウエタックスの植木正春専務(上越市石橋で)
「音で育てたおいしい味奏」をPRする山本社長
「音で育てたおいしい味奏」をPRする山本社長

 スピーカーで音を聴かせて育てたみそが上越市で発売され、話題を呼んでいる。いずれも市内にある創業105年の老舗みそ店と、東京五輪でスピーカーが使われた音響機器メーカーによる異業種コラボが生み出した商品。関係者は「色んな会社にコラボが広がり、地域が活気づくきっかけになればうれしい」と話す。

 大豆や米こうじの熟成した香りが漂う上越市石橋の「山本 味噌みそ 醸造場」の工場。その一角で、山本幹雄社長(48)が四角いタンクにみその原材料を仕込んでいた。作業の途中、音響機器メーカーの担当者がタンクの中に直径約12センチの丸い金属スピーカーを入れた。タンクからはかすかにピアノの音色が響き、山本社長は満足そうにうなずいた。

 山本社長がみそ造りでコラボしたのは、同市の音響機器メーカー「ウエタックス」。東京五輪のアーティスティックスイミングで同社の水中スピーカーが使われるなど、国内随一の技術力を誇る。

 山本味噌醸造場が、取引がある上越信用金庫に技術相談を持ちかけたのがきっかけ。同信金は取引先を信州大(長野県)に仲介して新商品などの研究開発につなげる連携協定を結んでいる。もともと信州大と共同で、音を使って植物の生育を促す水耕栽培の研究などに取り組んでいたウエタックスとのコラボが決まった。

 「前例のないことに挑戦したかった」。山本社長は、タンクに直接スピーカーを入れることを決めた理由をこう振り返る。「工場全体や、タンクの外側にスピーカーをつけて熟成させたみそは聞いたことがあるが、タンクの中に入れるのは聞いたことがない。わくわくした」

 みその原材料とともにタンクにスピーカーを入れるためには、塩分と衛生面が課題となる。ウエタックスはこれまで、海中や温泉でも使えるスピーカーを開発。その技術を応用し、塩分の強いみその中にいれても びず、衛生のため熱湯で滅菌処理をしても壊れないステンレス製のスピーカーを完成させた。

 2019年に実験を開始。クラシックやロック、低周波や高周波など、様々なパターンの音楽を作り、みそに「聴かせて」どんな効果があるかデータを取って信州大に分析を依頼した。

 ピアノの音色と、上越市ゆかりのアーティストのロックを交互に流し、高周波と低周波も織り交ぜることを決め、今年4月に初めての仕込みを行った。

 通常のみそは発酵・熟成期間が約半年かかるが、音楽を聴かせたみそは半分ほどの約100日間で十分に熟成が進んだ。こうじの甘さがより引き立つ味わいになったといい、山本社長は「ここまで差が出るとは」と驚き、「仕込み期間が短縮でき、効率がよくなる」と喜ぶ。

 周波数が関係しているとみられるが、なぜ発酵期間の短縮につながったのかは「研究中」。信州大の原公人産学連携アドバイザーは「これを機に音楽と発酵との関係を解明できれば、これまで自然に任せていたものが、人工的にコントロールできるようになるかもしれない」と期待を寄せる。

 音楽を聴かせたみそは「音で育てたおいしい 味奏みそう 」の名前で、初回仕込み分を500グラム入り(税込み972円)で販売している。「おみやげにしたい」など好評といい、今後も仕込んで販売する予定だ。

 新型コロナウイルス禍で外食を控える傾向が進み、飲食店向けのみその出荷が減少するなど厳しい状況が続いているが、山本社長は「こういう時こそ新商品を作り、話題を呼んでまち全体を盛り上げたい」と語る。問い合わせは、山本味噌醸造場(025・543・2283)へ。

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2497922 0 ニュース 2021/11/06 05:00:00 2021/11/06 05:00:00 2021/11/06 05:00:00 みその素材が入ったタンクにスピーカーを設置するウエタックスの植木正春専務(9月22日午後2時6分、上越市石橋で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/11/20211105-OYTNI50026-T.jpg?type=thumbnail

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