シニアカー事故死相次ぐ 操作不慣れ/横断中はねられる

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 シニアカーと呼ばれるハンドル付き電動車いすを利用中の死亡事故が相次いでいる。警察庁によると、2012~19年、シニアカーを含む「電動車いす」が絡む交通事故の死者は全国で61人に上る。交通事故に巻き込まれるケースもあるが、操作に慣れずに事故に遭う高齢者も多いとみられる。全ての死傷者や事故の状況はつかめていないといい、警察などが講習会を開き、注意を呼びかけている。

 別府市の県道では5月14日朝、シニアカーで横断歩道を渡っていた松野春夫さん(84)が乗用車にはねられた。現場は片側1車線の緩やかなカーブで信号機はなかった。運転手は自動車運転死傷行為処罰法違反(過失運転致傷)容疑で現行犯逮捕された。松野さんはその後、死亡が確認された。

 松野さんは約10年前からシニアカーを利用し、毎日のように散歩や買い物に出かけていたという。「いつも100歳まで生きるのが目標と言っていた。口数は少なかったが、優しく気遣いができる父だった」。市内に住む息子の阿南清吉さんはそう語る。

 警察庁などによると、19年までの8年間で、シニアカーのほか、障害者らが使うタイプの製品も含めた「電動車いす」を利用中の交通事故で61人の死亡が確認された。19年4月には山梨県笛吹市で高齢女性が軽ワゴン車と衝突、同年7月には鹿児島県姶良市で国道横断中の男性が乗用車にはねられて死亡した。大分県内では10年以降、3人が亡くなった。

 ただ、川に転落したり、壁に衝突したりする単独事故は含まれない。シニアカーは、ハンドルでブレーキやアクセルを操作するが、免許は不要で、道交法では歩行者に分類されるためだ。

 製造・販売会社でつくる「電動車いす安全普及協会」(浜松市)によると、シニアカーは最高時速6キロで、価格は30万円台が中心。出荷台数は00年度の約2万9000台をピークに減少したが、13年度以降は増加傾向で、昨年度は2万1208台となった。同協会の担当者は「運転免許の返納者の増加が要因ではないか」とみている。

 一方で、利用するのは高齢者が多く、操作ミスのため急な坂道で横転したり、歩道の端を進んでいて側溝に転落したりする事故が目立つ。同協会の担当者によると、中古品を譲り受けたり、インターネットで購入したりする例もあり、「操作説明を受けないまま路上に出て、負傷する利用者もいる」という。

 豊後高田市でシニアカーを販売、レンタルする「かのうシルバーサービス」の河野正明社長は「店舗に突っ込んでガラスを傷つけたり、操作を誤って転倒したりすることもある」と語る。

豊後大野署 講習会開く

 警察庁は都道府県警と協力して、事故防止に取り組んでいる。

 豊後大野署は15日、豊後大野市の千歳公民館で講習会を開き、地域の高齢者20人が参加した。

 シニアカーを販売するスズキ自販大分(大分市)の社員が操作方法を説明し、車体の横に立って「車の運転と同じようなハンドルさばきで」「目線は遠くに」などと声をかけた。

 同署交通課の穐好あきよし敬介・安全教育係長は「今後重要な移動手段になる。歩行者と同じ規則を守り、安全に利用してほしい」と話した。

 福岡県警は、電動車いすの販売・レンタル業者を対象に04年から研修会を実施。受講者は「電動車いすセーフティ・アドバイザー」に任命され、利用者や家族に交通安全教育を行う。

 交通政策に詳しい筑波大の市川政雄教授(社会医学)の話「高齢の独居世帯が増えており、利用のハードルは上げるべきではないが、死傷者を減らすためには、まず全体の事故の状況を把握する必要がある。国とメーカーが協力して負傷状況を集計して分析を進め、対策を図る必要がある」

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