仮住まい 静かでさみしい

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仮設住宅での暮らしを始めた尾合さん。「先のことを考えないといけない」と、メモ帳を手に取った(倉敷市真備町市場で)
仮設住宅での暮らしを始めた尾合さん。「先のことを考えないといけない」と、メモ帳を手に取った(倉敷市真備町市場で)
プレハブ造りの仮設住宅が80戸並ぶ真備総合公園内の団地。周囲の木々も色づいてきている
プレハブ造りの仮設住宅が80戸並ぶ真備総合公園内の団地。周囲の木々も色づいてきている

 ◇西日本豪雨 まもなく4か月

 木々が色づき、秋が深まってきた。7月の西日本豪雨で被災した倉敷市真備町の住民たちも、避難所から仮設住宅などに移り、冬支度を始めている。今月6日で「あの日」から4か月。慣れない<仮住まい>に移った被災者たちを訪ね、今の思いを聞いた。(斎藤孔成)

 真備町市場にあるプレハブ造りの仮設住宅。山の中腹にあるためか、風が冷たい。4畳半の部屋の真ん中にコタツがポツンとある。「コタツは知り合いにもらったんよ。ここでは今、『寒いね』が朝夕のあいさつじゃわ」。尾合輝政さん(82)はつぶやいた。

 尾合さんの自宅は真備町川辺にあった。両親が80年ほど前に建てた木造2階建て。写真家として生計を立てており撮影先から戻ると、心が安らいだ。およそ10年前に妻に先立たれてからは、広くなった家で暮らした。

 ついの住み家だと思っていたが、7月の豪雨で一変した。決壊した川の水が流れ込み、2階で身を震わせた。ボートで救出されたが、「あんな怖い思いはもうしたくない」と、8月に取り壊した。更地をカメラに収めると、涙がこぼれた。

 住宅探しはこれからだ。避難所から10月に移り住んだ仮設住宅も、入居期限は2年とされる。限られた年金収入では心もとないが、「できれば古里から遠く離れたくない。安心できる場所を早く見つけないと」と漏らした。

          □   ■

 倉敷市内では9~10月、6か所に計266戸の建設型仮設住宅が完成した。このうち158戸がプレハブ構造。天井や外壁に断熱材を使うほか、エアコンも整備されている。

 それでも、「自宅とは全く違う寒さ。夜は湯たんぽが欠かせんわ」と話すのは、浸水被害で真備町箭田の自宅が全壊した女性(78)。真備総合公園(箭田)内に整備されたプレハブ仮設で、夫を介護しながら暮らす。

 夜に気になるのは、寒さだけではない。「自宅近くにはスーパーマーケットや学校があったから、にぎやかじゃったけど、ここは人の声がほとんど聞こえん。静か過ぎて、さみしいわ」

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 真備町服部地区では孤立化を防ごうと、地区外の仮設住宅などで暮らす住民たちを集めて食事を楽しむ「集いの会」を定期的に開いている。服部地区まちづくり推進協議会の中尾研一会長(69)は「地元に戻ってきたい人や迷っている人などいろいろいるが、仮設住宅で寂しい生活を送っている人も、みんなの顔を見れば笑顔になれる。寒くなってきたが、これからも続けてほしいという声がある」と言い、今月も開催を予定している。

 災害支援に詳しい大阪大大学院の稲場圭信教授(共生学)は、「心のケアを重視する時期に来ている」と指摘する。

 稲場教授によると、当初は被災した家の片づけなど、被災者の要望は目に見えたものが中心だったが、今後、生活をどのように再建していくのかという時期になってくると、要望も目に見えにくくなってくるという。

 稲場教授は「仮設住宅に移っても、『落ち着かない』『思ったような広さでもない』『でも、行く場所がない』と感じる被災者もいる」とし、「そういったところにボランティアらが繰り返しコミュニケーションをとるなどして、支援を続けていく必要がある」と話す。

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47751 0 NEWS EYE 2018/11/04 05:00:00 2018/11/04 05:00:00 仮設住宅での暮らしを始めた尾合さん。「先のことを考えないと」と話す(倉敷市真備町で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20181103-OYTAI50001-T.jpg?type=thumbnail

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