「金融教育」指導者が不足

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 ◇金融庁、出前授業も

 家計管理や金融の仕組みなどを学ぶ「金融教育」の関心が高まっている。新しい金融サービスの普及や成人年齢の引き下げなどにより、早くから学ぶ必要があるためで、2022年度以降に実施される高校の次期学習指導要領にも盛り込まれた。ただ、専門知識を持つ教員が少ないとされ、金融庁は、職員を教育現場に派遣する出前授業に力を入れている。(坂下結子)

 

 ◇教育に2200万円

 岡山市北区の県立岡山一宮高校。今月5日、金融庁審議官の井藤英樹さん(54)が、「ライフデザインと資産形成」とのタイトルで教壇に立った。「皆さんのライフプランに、どれくらいお金がかかるか考えてみましょう」。3年生約80人に問いかけた。

 井藤さんは、大学を卒業した人は約3億円の生涯収入を得る一方で、子育てや住宅購入、老後資金といった「人生の三大費用」に約1億2000万~1億7000万円かかる、と説明。

 その後、グループに分かれて話し合った生徒らは「何歳で結婚するのがいいんだろう」「超低金利の時代だから預金だけではお金は増えないね」などと、将来の生活を想像していた。

 参加した田原寛也さん(17)は約800万~2200万円と試算された教育費について「子ども1人にそんなにかかるとは思いもしなかった。これまで投資などの積極的な資産形成について考えたことはなかったけれど、必要かもしれないと思った」と話していた。

 

 ◇学習指導要領で

 金融教育は、11年度以降に実施された小中高の学習指導要領で充実が図られてきた。3月に文部科学省が公示した次期学習指導要領にも盛り込まれており、今後、公民科や家庭科の授業で内容が拡充される予定だという。

 背景には、人工知能(AI)や情報技術(IT)を活用した金融サービス「フィンテック」の拡大がある。金融機関の中には、フィンテック専門の職種で新卒採用を行う動きも出ている。

 また、今年6月の民法改正(22年4月施行)で、成人年齢が20歳から18歳に引き下げられることが決まった。「18歳成人」が、クレジットカード契約などでトラブルに巻き込まれないよう、正しい消費者教育を受け、必要な金融知識を身につける必要がある。

 

 ◇教員向けセミナーも

 しかし教育現場では、指導できる教員が不足しているのが実情だ。県内のある高校教諭は「専門的な知識や投資経験がないと、教えにくい」と漏らす。

 金融経済団体の代表者らでつくる「金融広報中央委員会」(事務局・日本銀行)が2万5000人の18歳以上を対象に実施したアンケート調査(16年)によると、「金融教育を行うべき」と答えた人は62%(約1万5600人)だったのに、このうち金融教育を受けた人は8%(約1300人)にとどまっている。

 同委員会では、教員向けのセミナーを定期的に開いて、指導者の育成を進めている。金融庁も、今年7月から職員約90人を大学や高校などに派遣する取り組みを始めた。

 井藤さんは「大人になってから全員が一定レベルの金融教育を受けるのは困難。早い時期に金融について考えるきっかけをつくることが大切だ」と話している。

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50158 0 NEWS EYE 2018/11/15 05:00:00 2018/11/15 05:00:00

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