洋梨栽培の後継者育成

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「いいものに育った」とパス・クラサンを大事そうに持つ福島さん(赤磐市で)
「いいものに育った」とパス・クラサンを大事そうに持つ福島さん(赤磐市で)
編み針を手に、「これからもボランティア活動を続けていきたい」と語る馬野さん(真庭市で)
編み針を手に、「これからもボランティア活動を続けていきたい」と語る馬野さん(真庭市で)

 ◇生産団体会長 福島 進さん 70 (赤磐市)

 外観がデコボコした赤磐市特産の西洋梨「パス・クラサン」。収穫後に冬場の約1か月間、追熟させると、まろやかな食感になり、濃厚な甘みを持つ。フランス原産で、明治時代に同市赤坂地区での栽培が始まったという。

 1玉500グラム~1キロ。風で落果しやすい難点があり、栽培地は少ない。農林水産省の2015年産「特産果樹生産動態等調査」では、生産地は全国で岡山県の1ヘクタールのみが掲載されている希少果樹だ。

 県内唯一の生産団体「赤坂洋梨生産組合」の会長を昨年から務める。「かつては約50戸の組合員がいたが、今は3戸。高齢化が進み課題は後継者育成」と話す。

 パス・クラサンの開花は4月。別の梨の花粉で人工授粉させ、5月に直径5センチほどに育った実に袋を掛ける。病気にならないよう消毒し、これを12、13回繰り返す。この間、草刈りや水やりも欠かせない。11月中旬に収穫期を迎えると、淡い黄色に色づいた実をもぎ取り、茶色くなるまで追熟させ、12月以降に出荷する。

 現在、3戸が計30アールの畑で生産し、年間計約4トンを出荷している。自身はこのうち、10アールで栽培し、今シーズンは3トンを見込んでいる。「手間をかけてやると、おいしくなるんです。だから、愛着がわいてくるんです。地域の宝なんです」と語気を強める。

 高校卒業後、京都や岡山で呉服卸業の会社に勤めた。父親はパス・クラサンを栽培しており、時々作業を手伝う程度だったが、父親が亡くなって農家を引き継ぎ、50歳ぐらいから本格的に栽培を始めた。

 昨年、パス・クラサンの課題研究に取り組む県立瀬戸南高校の生徒が訪れ、袋掛けや収穫体験をした。「ありがたいことです。生徒は熱心に栽培方法などの話を聞いてくれ、作業に取り組んでいた」とうれしそうに話し、「後継者の育成につながれば、と願っています」と目を輝かせた。(水原靖)

 

 ◇手編み膝掛け 被災者に

 ◇ボランティアグループ代表 馬野 展子さん 66 (真庭市)

 「暖かいんで使ってみてください」。昨年12月、西日本豪雨で被災した倉敷市真備町服部地区を訪ね、被災者らに手編みの膝掛け172枚を届けた。真庭市の主婦仲間らと丁寧に仕上げたもので、「お体を大切に」という手紙も添えた。

 編み物に出会ったのは高校生の頃。交通事故で入院生活を余儀なくされた際、同室だった女性からレース編みを教わった。編み針の動きに集中していると、つらい入院生活も前向きに過ごせた。結婚後、我が子にベストを編もうと、再び編み針を手に取ってのめり込んだ。

 転機になったのは、2011年3月に起きた東日本大震災。津波に自宅をさらわれ、寒空で凍えている被災者の境遇を思うと心が痛んだ。「何か私にできることはないか」。こう考えて思い付いたのが、趣味で続けている編み物で膝掛けをつくって届けること。その年の10月、宮城県石巻市の仮設住宅まで膝掛けやマフラー約220枚を渡しに行くと感激された。

 以来、知人らから集めた「モチーフ」と呼ばれるパーツ(10センチ四方)を40枚つなぎ合わせて膝掛けに仕上げるボランティアを約40人でコツコツと続けている。昨年夏の集まりで、甚大な被害を受けた真備町でも使ってもらおう、という声がメンバー内で上がり、知人のいる服部地区に贈った。

 初めて訪れた真備町では、骨組みだけの家屋が点在しており、東北の被災地と重なって見えた。自宅が全壊した女性(70)から「大切にしますね」と感謝されたという。

 これまでに贈った膝掛けやマフラーなどは東日本大震災の被災地も含めると約3000枚。「そろそろ……」と体調を気遣う家族には「できる人が、できる時間に、できることをするだけ」と答えている。年が明けても、編み針を手に取るペースに変わりはない。(加藤律郎)

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19362 0 人あり 2019/01/13 05:00:00 2019/01/21 13:30:10 「いいものに育った」とパス・クラサンを大事そうに持つ福島進さん(赤磐市由津里で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20190112-OYTAI50010-T.jpg?type=thumbnail

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