馬に寄り添い躍動美

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ティーダにあんパンを与える福岡さん。回転焼きの「御座候」が大好物なことから「ゴザ」という愛称で呼んでいる(神戸市の乗馬クラブで)
ティーダにあんパンを与える福岡さん。回転焼きの「御座候」が大好物なことから「ゴザ」という愛称で呼んでいる(神戸市の乗馬クラブで)
真剣な表情で演技に臨む福岡さんとティーダ(昨年5月)=福岡さん提供
真剣な表情で演技に臨む福岡さんとティーダ(昨年5月)=福岡さん提供

 ◇馬場馬術で国体3連覇 福岡珠緒さん 18(就実高3年)

 国体の馬場馬術で3連覇を達成した女子高生がいる。岡山市北区の就実高3年福岡珠緒さん(18)。中学2年で「恋人」と呼ぶ愛馬と出会ったのをきっかけに大きく飛躍した。今春には大学に進学し、さらに大きな舞台を目指す。

 「パカッ、パカッ」。小気味よいひづめの音が響く。神戸市西区にある乗馬クラブ。福岡さんが愛馬ティーダ(17歳)にまたがってゆっくりと馬場を進んだ。かかとで合図を送ると、ティーダがリズム良く足を動かして左右にステップを踏む。手綱を握った福岡さんは背筋をピンと伸ばしたまま、巧みにバランスをとった。

 五輪3種目のうちの一つで、演技の正確さを競う馬場馬術。騎手は目立たないように馬に合図を送って半回転や横歩きの規定演技などをこなす。フィギュアスケートと同じ採点競技で、演技には躍動感のほか、美しさも求められる。

 「この子は私の苦手なところも理解してくれているパートナー。限られた時間を大切に、コミュニケーションを図るようにしています」。約1時間の練習を終えると、ブラシで優しく毛並みを整えた。好物のあんパンを食べさせるのも大事なルーチンだ。

 福岡さんが乗馬に出会ったのは7歳の頃。両親に連れられて岡山市東区の乗馬クラブに遊びに行った。見上げるほど大きな馬にまたがったが、「全然怖いと思わなかった。動いている馬の上に乗れるのが楽しかった」。乗馬に夢中になり、週3回ほどのレッスンに通った。

 小学5年で神戸のクラブに所属して競技会に出場するようになったが、最高成績は中学1年で記録した全日本ジュニア4位。なかなかトップに立てなかったが、中学2年時にティーダに乗り始めて一変する。出会って3、4か月後にあった2014年の全日本ジュニアで優勝したうえ、15年の国体でも栄冠をつかんだ。その後も順調に白星を重ね、16、17年の国体も続けて制した。

 ティーダには、福岡さんとコンビを組む前、別のクラブへの売却話が持ち上がっていた。たまたま乗ってみたところ「乗りやすい」と直感。福岡さんを指導する稗田龍馬さん(40)も「おとなしく素直な性格のティーダと相性がぴったりと合った。こんなことはまれで、お互いにとって幸運だった」と話す。

 練習は土日の週2回。岡山の自宅から両親の車で高速道路を2時間かけて、神戸まで通っている。一度の練習で乗馬できるのは、馬の体力を考慮して1時間ほど。ミスをしてしまい、稗田さんに怒られた時には「ティーダにも負担がかかっている」と思う。そんな時は「ごめんね」と心の中で謝っている。

 高校を卒業する今春には、京都・同志社大に進学を予定している。京都から神戸まで通い、競技を続ける。「来年の東京五輪に出場するのは簡単ではないが、いずれは世界を舞台に戦う選手になりたいと思っています」と抱負を語る。

 ただ不安材料もある。17歳というティーダの年齢からくる衰えだ。人でいうと50歳相当で、老化とともに筋肉が硬くなれば動きも悪くなり、演技に影響を及ぼす。調教も担当する稗田さんは「競技馬としては高齢の域に達しており、年をとったなと感じることはある」と話す。実際4連覇がかかった昨年の国体では2位に甘んじた。

 それでも福岡さんがティーダとコンビを続けたいという気持ちに変わりはない。「一緒に難しい技を覚えていくのがすごく楽しい。今まで助けられてきた分を、今度は私がカバーしていきたい」。そう言って、手の指にできたマメをさすった。(阪悠樹)

無断転載禁止
19846 0 「おかスポ」 2019/01/15 05:00:00 2019/01/21 13:31:48 愛馬のティーダに好物のあんパンをあげる福岡さん(右)(兵庫県) https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20190114-OYTAI50002-T.jpg?type=thumbnail

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