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論語で教育や町づくり<閑谷学校>

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 閑谷学校では、主に儒学が学ばれていた。なかでも力を入れていたのが「学びを通じた人づくり」を目指した岡山藩初代藩主・池田光政が愛した「論語」教育だった。現代に通じる部分も多い論語を、近年は学校教育や町づくりに活用するなど、光政の思いは、新たな広がりを見せている。

旧閑谷学校顕彰保存会が主催する、講堂で行う論語体験(備前市の閑谷学校で)
旧閑谷学校顕彰保存会が主催する、講堂で行う論語体験(備前市の閑谷学校で)

 光政が家督を継いだのは1616年、8歳の時だった。戦国の気風が色濃く残るなか、平和で豊かな国造りのため、幼い光政が選んだのが論語だった。自らを律し成長するため参勤交代にも経書を携え、道中で読書に励んだという。その光政が70年に創設した閑谷学校が、教育の基本に論語を据えたのは、ある意味必然だった。

 当時の学びの場は庶民が通った「寺子屋」や、武士のための「藩校」、高名な学者らが主宰する「私塾」などがあった。閑谷学校がユニークだったのは、それらの機能が1か所に集約されていた点だ。

 希望者は8歳程度で入学すると読み書きを習い、次に経書の素読や講義に進んだ。成績優秀者は、さらに高度な教育を受けることもできた。身分を超えて入学できたほか、他藩からも生徒を受け入れており、旧閑谷学校顕彰保存会事務局長の木山潤郎さんは「一貫教育が行われており、このような学校は他になかった」と指摘する。

毎朝 全クラスで朗唱

 「衆これにくむも必ず察し、衆之を好むも必ず察す」

 県立和気閑谷高校(和気町尺所)の教室に、生徒約20人の声が響いた。当番で教壇に立っていた佐藤亜友菜さん(17)は、章句の意味を説明した後、「私は人の意見に左右されず、自分の意思を尊重して行動するように気をつけています」とクラスメートに意見を述べた。

 日本の近代化に貢献した軍人で政治家の大鳥圭介や、大原美術館を創設した実業家・大原孫三郎など、優れた人材を多く輩出してきた閑谷学校。その流れをくむ同高校では、伝統と精神を受け継ごうと、毎朝、全クラスで論語朗唱を行っている。同校主幹教諭の福田浩司さんは「昔の教えだが、現代にも通じるものがある。毎日触れることで思いやりの心を養ってほしい」と説明する。

 閑谷学校の敷地内にある県青少年教育センターは、研修に訪れた学生や社会人らに対し、当時実際に指導が行われていた国宝の講堂で、論語体験を行っている。板床に正座し、論語に向き合うことで自分を見つめ直すことができるという。

 最近では、ただ論語を読むだけでなく、議論を交えながら考える「会読かいどく」も実施しており同センターの担当者は「人生のヒントを見つける契機になれば」と話す。

備前市教委が作った「論語かるた」(備前市役所で)
備前市教委が作った「論語かるた」(備前市役所で)

子ども向けにかるた

 備前市では、市民が広く論語に親しむ機会が設けられている。市教委は昨年、子ども向けに「論語かるた」を作り販売を開始。売れ行きは好調で、最初に作った1300セットはほぼ完売した。お年寄りが孫に向けて購入するケースが多く、増産を行った。来年1月には市内でこのかるたを使った大会も行う。担当者は「閑谷学校で学ばれた論語の魅力を発信し、地域の活性化につなげたい」と意気込んでいる。(松崎遥)

<論語> 古代中国の思想家・孔子(紀元前551~同479年)の言葉や行い、弟子とのやりとりを集めた言行録で、儒教の経典「四書」の一つ。思いやりを意味する「じょ」や「仁」の精神を説いている。

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使い方
1631914 0 New門@岡山 2020/11/17 05:00:00 2021/06/05 15:14:05 2021/06/05 15:14:05 閑谷学校の講堂で行われている論語体験の様子(備前市の閑谷学校で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/11/20201117-OYTAI50000-T.jpg?type=thumbnail

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